野球は下位チームが最強チームを破ることもできる。いわゆる“ジャイアントキリング”はほかの競技と比べて生まれる確率が高い。レギュラーシーズンで最弱に挙げられるチームが、勝率3割を上回るのもそのような脈絡だ。
強豪チームは最下位チームに敗れればプライドを大きく傷つけられる。ただ、個人戦の性格が強く、団体戦で勝敗を分けるという競技の特性上、番狂わせは大いに起こり得ることだ。
瞬間的な集中力、最後まで全力を尽くす精神力が“変数”として作用する。
全世界で話題の人物となったカン・ベクホ(23、KTウィズ)の“喜びすぎタッチアウト”も同じ脈絡だ。
韓国の1点ビハインドで迎えた7回裏、一死後に代打で登場したカン・ベクホは値千金の左中間二塁打を放つと、ベース到達直後にダッグアウトに向かって喜びを表した。ただ、スライディングで二塁に滑り込み、立ち上がった直後だったため歓声が残っていた。
外野手からの送球を受け取ったオーストラリアの二塁手は、セレモニーを続けるカン・ベクホを最後まで見守り、足が離れた瞬間にタッチした。長打を奪われたことに対する残念さ、わずかな希望でもつかもうという切実さがにじみ出たプレーだ。
審判がタイムコールをするまではインプレーだ。最後まで最善を尽くすことは基本だろう。その執念が刹那の瞬間を見逃さず、WBCの歴史に残る場面を作り出した。
相手にリードされた展開で代打で登場し、逆転の可能性を開いた喜びは言葉では説明できないだろう。1点差であり、前の打席で本塁打を打ったヤン・ウィジ(35、斗山ベアーズ)が後続に控えていただけに、ビッグイニングを期待できる瞬間だということを選手は強く感じていたはずだ。
沈みかけたベンチの雰囲気を盛り上げようとしたカン・ベクホのセレモニーは、しっかりベースを踏んでいれば英雄になっていたはずのジェスチャーだ。後続のヤン・ウィジが安打を放っただけに、カン・ベクホに対する非難は大きくならざるを得なかった。
わずかな違いが名品を作り出す。それは野球も同じだ。
中国戦で明らかになった日本の戦力は、韓国を圧倒するほどではなかった。弱点も見え、韓国と同様に100%のコンディションではなかった。
弱点を突くにしても、すべては基本から始まる。韓国が日本を破ることができれば、それも異変として記録されるはずだ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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