このダンスの場面によって、“ブラジルが韓国を無視している”という指摘が出た。韓国国内だけでなく、国外の主要人物の間でもブラジルの行動を問題視する声は多い。いわゆる“韓国無視議論”の導火線になったわけだ。
さらには、W杯決勝トーナメントの舞台でGKまで交代する余裕を見せつけるなど、ブラジルが韓国を尊重しなかったという批判の声も出ている。
ただ、こうした議論にも当のブラジルはダンスをやめるつもりはない。ダンスセレモニーは相手を意識した行動ではなく、本人たちが楽しむためにやっている行動だというのがチッチ監督の考えだ。
韓国戦で先制ゴールを決めたFWヴィニシウス・ジュニオール(22、レアル・マドリード)も、「サッカーで最も重要なことはゴールだ」とし、「人前では自分の幸せさを見せるために努力する。それが自分をもっと幸せにする。僕のダンスはほかの人を幸せにする。毎回の試合で踊れることを願う」とし、ダンスセレモニーが相手を無視するための手段ではなく、喜びを共有するための行動だと説明した。
チッチ監督の考えも変わらない。「ある日、私が練習途中にリシャルリソンに“君がゴールを決めたら私も踊ろう”と話した。若い世代とのつながりの役割をする。私は61歳だが、選手のなかには21~22歳もいる。彼らは私の孫のようだ」と、ゴールセレモニーをともにすることが選手との交感に役立ったと話した。
ブラジルは今大会で最も強力な優勝候補に挙げられている。準々決勝の相手クロアチアよりも戦力が優勢なチームと評価されている。
また、クロアチアはベスト16で日本とPK戦までもつれる死闘を繰り広げた。体力面でもブラジルが優勢だ。
戦前の予想通りであれば、準々決勝でもブラジルのダンスセレモニーが見られる可能性は高いだろう。