ところが、いざカタールW杯が始まると、イ・ガンインは韓国にとって必要不可欠な選手に飛躍した。
第1節のウルグアイ戦で途中出場から際立った存在感を見せると、第2節のガーナ戦でもジョーカーとして起用され、投入後1分で天才性が引き立つアシストを記録。そして第3節のポルトガル戦で先発出場し、コーナーキックで上げた正確なパスが同点弾の足場を築いた。
これにはベント監督もイ・ガンインの天才的な面貌に目を背けることができなかった。韓国の最終メンバー26人で最も優れた技術とキック、そして創造的なプレーを駆使するイ・ガンインの長所を選択した。
その裏にはイ・ガンイン自身の進化がある。
ベント監督がイ・ガンインを起用して来なかった理由には“バランス”がある。
ポルトガル人指揮官は攻撃と同じぐらいに守備体系を重要視する監督だ。フィールドプレーヤー10人が一緒に守備をする組織的なディフェンスを優先的に考えている。それが、守備が熟練していなかったイ・ガンインをどうしても使えなかった理由だ。
ただ、イ・ガンインは今大会を通じて、自分が入ってもチームのバランスを取れることを証明した。
ポルトガル戦だけみても、イ・ガンインが先発出場したからといって守備のバランスが大きく崩れることはなかった。ガーナ戦では自らの前線からのプレッシャーでボールを奪取し、素早いクロスでFWチョ・ギュソン(24、全北現代モータース)のゴールをアシストした。
「イ・ガンインは守備に弱点がある」という指摘はもはや偏見と言って良いだろう。
イ・ガンインは今季ラ・リーガで主力としてプレーしているが、守備ができないという話は聞かない。自身の天才的なプレースタイルを維持しながらも、適切な守備参加やポジショニングなどで魅力を発散している。
イ・ガンインはまだ2001年生まれの21歳だ。これから本当の全盛期が到来する。時間が経つほどに自身の短所を挽回し、長所を極大化している。
3年前の2019年、イ・ガンインは1999年生まれの世代が出場するU-20W杯に“飛び級”で出場し、韓国を準優勝に導くとともに自身も大会最優秀選手(MVP)のゴールデンボールを賞を受賞した。
当時もイ・ガンインを疑う視線は存在した。国内の一部専門家はスピードが弱点だと指摘し、成長が容易ではないという意見も出していた。
だが、この大会を通じて、それらの意見がすべて間違っていることを証明した。イ・ガンインは多少の浮き沈みがありながらもラ・リーガで通用する攻撃的MFとして定着し、今回のカタールW杯でも確固たるパフォーマンスを披露した。
時間が経過するにつれて進化する選手がまさにイ・ガンインだ。本当の彼の時代はじきにやってくるだろう。
なお、韓国は12月6日4時(日本時間)、ドーハのスタジアム974で行われるカタールW杯決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦する。勝利した側は準々決勝で日本対クロアチアの勝者と対戦する予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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