希望を乗せたバーディーパットは、ボール1個分の差で外れた。
世界ランキング1位の意地を見せた“冷徹な勝負師”コ・ジンヨンだったが、60年ぶりの米国女子ツアー史上2度目となる2週連続のメジャー制覇に失敗した。
コ・ジンヨンは8月5日(日本時間)、イングランドのウォーバーンGCで行われた「AIG全英女子オープン」最終ラウンドで6打を減らす通算16アンダーを記録したが、日本の“新鋭”渋野日向子(通算18アンダー)に敗れた。
7月29日に幕を下ろした「エビアン選手権」を逆転優勝で飾り、シーズン3勝のうちメジャー2勝をあげた“メジャーハンター”コ・ジンヨンは、全英女子オープンでも勝負師の気質を遺憾なく発揮した。
4打差の4位で最終日を迎えたコ・ジンヨンは、5番で初バーディーを奪うと、7番まで3連続バーディーを記録して一気に優勝争いに飛び込んだ。後半に入っても10番、12番、13番をバーディーとし、一時は首位タイに浮上した。
しかし14番ではティーショットのミスでかろうじてパーセーブとすると、15番でもバーディーを追加できず。17番ではティーショットがグリーン右のバンカーに落ちるピンチもあったが、セカンドショットをピン左3mにつけ、なんとかパーセーブで希望をつないだ。
首位に1打差で最終ホールに臨んだコ・ジンヨンだったが、10mのバーディーパットはほんのわずかな差で外れ、涙を飲んだ。ショックを隠せなかったコ・ジンヨンは帽子を深くかぶって、自分自身を責めた。
優勝することはできなかったが、コ・ジンヨンは米国女子ツアー2年目にして、すでに世界最高の選手に仲間入りした。特に今季は5回行われたメジャー大会で2度の優勝を記録し、世界ランキングは堂々の1位だ。「全米女子オープン」16位タイ、「KPMG女子PGA選手権」14位タイと、大きな大会で強い存在感を見せた。
一緒に優勝争いを繰り広げたパク・ソンヒョンは通算10アンダーで8位、全米女子オープンを制したイ・ジョンウン6は通算9アンダーの9位タイで、シーズン最後のメジャー大会を終えた。パク・ソンヒョンは、3シーズン連続のメジャー大会優勝を逃した。
キム・ヒョージュとキム・セヨンは通算5アンダーで23位タイ、チョン・インジは通算3アンダーの35位タイだった。
一方、全英女子オープンで“サプライズ優勝”を果たした渋野日向子は、昨年11月に日本女子ツアーのQTを通過した新人だ。
5月に日本のメジャー大会である「サロンパスカップ」で、韓国のペ・ソンウを1打差で下して優勝すると、7月には「資生堂 アネッサ レディスオープン」でイ・ミニョンと延長戦を繰り広げて優勝した期待の選手といえる。
【インタビュー】“美しき実力者”ペ・ソンウが日本女子ツアーに来た理由
日本以外の国で行われた大会に初出場し、1977年の樋口久子以来42年ぶりに米国女子ツアーのメジャー大会で優勝した日本女子ゴルファーとなった。
躊躇のないショットで注目を集めた渋野日向子は、2020年東京五輪出場を目指す、いわゆる「黄金世代」のリーダーとして挙げられる。
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