韓国の舞台で初の枠内シュートをゴールにつなげた。それもリーグ最大のライバルチームを相手にした強烈な決勝点だ。
今季からKリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)に加入したブラジル人FWレオナルド(24)に対する期待がさらに高まっている。
レオナルドは3月6日、アウェーの全州(チョンジュ)ワールドカップ競技場で行われたKリーグ1第4節、全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースとの“現代家ダービー”で前半30分から途中出場。
すると、ピッチに足を踏み入れてわずか10分後の前半40分、自身の右足で決勝ゴールを沈め、チームを1-0の勝利に導いた。
【動画】韓国初ゴール!レオナルドの絶妙トラップ→右足ボレー弾
蔚山現代を率いるホン・ミョンボ監督にとって、前半の内のレオナルド投入は“賭け”に近かった。
というのも、レオナルドは去る2月23日に隔離を終えてチーム練習に合流したばかり。今月1日の第3節水原(スウォン)FC戦では後半から途中出場し、Kリーグ・デビューを飾るも、やはり100%のコンディションではなく、1本もシュートを打てずにいたからだ。
それでも、ホン・ミョンボ監督は全北現代が前半20分に先発出場のU-22選手2人を下げ、FWソン・ミンギュ(22)、MFムン・ソンミン(29)の主力2人を同時投入したことから、同じく前半でレオナルドを投入する決断を下した。
ベンチにはFWユン・イルロク(30)やFWオム・ウォンサン(23)など、ほかの攻撃のカードもあった。ただ、先発メンバーのMFヴァレリ・カザイシュヴィリ(29)、MFイ・チョンヨン(33)が彼らのポジションをカバーできるだけに、より中央の攻撃に注力しようとしたわけだ。
結果としてこの采配は完璧に的中した。前半40分、コーナーキックからMF天野純(30)が上げたボールがクリアされると、ペナルティエリア外にいたDFソル・ヨンウ(23)がダイレクトでゴール前に放る。これに反応したレオナルドが、ボールを右足で精巧にコントロールした後、ボレーシュートでゴールネットを揺らした。
かつてガイナーレ鳥取時代の2018年にJ3リーグ得点王、アルビレックス新潟時代の2019年にJ2リーグ得点王を獲得した“点取り屋”としての存在感を存分に発揮した形だ。
蔚山現代は今季開幕前、主力FWオ・セフン(23)の突然の清水エスパルス移籍により、ストライカーのポジションに空白が生じた。
それでも、開幕以降はカザイシュヴィリや天野を活用したゼロトップ戦術で好成績を維持してきたが、長期戦となるシーズンを考慮すれば本職のストライカーの存在は必要不可欠となる。
前線には元韓国代表FWパク・チュヨン(36)を補強したが、昨季に多く試合に出場していなかったため、現在はコンディションを引き上げている段階だ。
こうしたことから、ホン・ミョンボ監督はレオナルドを早期に実戦投入することを選択した。レオナルド自身、チームに合流して間もない段階とはいえ、「韓国で活躍する」というモチベーションが強かった。
レオナルドは鳥取、新潟を経て2020年にJ1リーグの浦和レッズで活躍した後、昨年は中国スーパーリーグの山東泰山に移籍。ただ、中国ではチームやリーグへの適応に失敗し、前半戦でわずか8試合1ゴールにとどまった。
シーズン後半戦には、かつて慶南(キョンナム)FCでMF邦本宜裕(24)を指導したキム・ジョンブ監督率いる河北FCにレンタル移籍するも、そこでも12試合1ゴールと振るわなかった。
そんななか、1トップでプレーできるストライカーを探していた蔚山現代とつながった。レオナルドにとっても、中国での失敗から巻き返しを図るための“踏み台”が必要だった。
蔚山現代への移籍が決まった後、韓国行きの飛行機に乗るまでも、レオナルドは休むことなくコンディション管理を続けてきた。蔚山現代の関係者によると、「ブラジル人FWが冬に一人で体を作り、チームに合流するケースは稀だが、レオナルドは比較的しっかり準備した方だ」という。
また、レオナルドは血の気の多い性格で過去に同僚との摩擦もあったという話も出たことから、早急に彼を獲得した蔚山現代もこの部分を心配していた。ただ、レオナルド自ら認知しているのか、蔚山現代ではチームメイトと柔和にコミュニケーションを取っているようだ。
蔚山現代の関係者は、「イ・チョンヨンやキム・テファンなどのベテランが、レオナルドが上手く適応できるよう暖かく接してくれている。レオナルド自身も誠実に生活をしているし、休日にはカザイシュヴィリや天野など同じ外国人選手とサッカーゲームをするなど、気兼ねなく過ごしている」と、レオナルドが問題なく適応できていることを伝えた。
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