本日19日に行われるフィギュアスケートのアイスダンスのショートダンス(SD)。
現地では、開催国の韓国から16年ぶりに出場する選手が何かと注目されている。ミン・ユラとアレクサンダー・ガメリンのペアだ。
11日に行われた団体戦のSDでは、ミン・ユラの衣装の背中のホックが外れるハプニングが発生。日本でも話題を呼んだが、もともとミン・ユラは、韓国で「美しすぎるスケーター」として人気を博していた。
また、ミン・ユラとアレクサンダー・ガメリンは、いずれも米国出身という出自も関心を集めている。
ミン・ユラは、米国と韓国の二重国籍を持っていたが、平昌五輪のために韓国籍を選択。アレクサンダー・ガメリンも、昨年7月に韓国籍を取得した。
もっとも、今大会の韓国代表には、「かわいすぎませんか?」と話題を呼んでいる女子アイスホッケー代表のキャロライン・パクをはじめ、外国出身選手が珍しくない。
「ウィンタースポーツ不毛の地」といわれてきた韓国は、五輪開催地の威厳を傷つけないために、2011年から「特別帰化制度」を実施するなど、なりふり構わず外国出身選手を迎え入れてきたのである。
アレクサンダー・ガメリンも、この特別帰化制度によって韓国籍を取得した一人だが、実際、昨年7月から今年1月まで行われた韓国の代表選抜戦でも、アイスダンス種目に出場したのは、ミン・ユラとアレクサンダー・ガメリンのペア1組だけだった。
ただ、ミン・ユラとアレクサンダー・ガメリンのペアが特に話題を集めているのは、平昌五輪のフリーダンス(FD)で使用する楽曲も関係しているだろう。
二人は、「我々の文化を世界に伝えたい」との思いで、韓国の伝統民謡『ホルロ(独り)・アリラン』に合わせて韓服で演技を披露することを決めたのだが、この楽曲の一部に「独島」(竹島の韓国呼称)という歌詞が入っていることが問題になった。
平昌五輪組織委員会は、ミン・ユラとアレクサンダー・ガメリンが使用する楽曲が、政治行為を禁止する五輪憲章50条に違反する可能性があると判断。国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け、約3秒の該当部分を削除して同楽曲を使用することになった。
今年初めには、平昌五輪の公式ホームページの地図で、竹島が「独島」と表記されているとして物議を醸したが、選手たちも領土問題とは無縁でいられなかったわけだ。
特別な出自のみならず、衣装トラブルに楽曲の問題と、話題の絶えないミン・ユラとアレクサンダー・ガメリン。
平昌五輪での目標は、今日のSDで20位以内に入ってFDに進み、『ホルロ・アリラン』と韓服を世界に披露すること。
ミン・ユラは平昌五輪を盛り上げる“韓国7大美女アスリート”にも選ばれているだけに、今日の演技には国内でも注目が集まるが、二人はどんな成績を残すだろうか。
文=慎 武宏
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