不安な90分間だった。
パウロ・ベント監督率いるサッカー韓国代表は9月2日、ソウルワールドカップ競技場で行われた2022年カタールW杯アジア最終予選の初戦でイラク代表と対戦し、0-0の引き分けに終わった。
この日、守備的MFにはMFソン・ジュンホ(29、山東泰山)が起用された。
本来、韓国の同ポジションでは、過去に京都サンガF.C.、ジュビロ磐田、ヴィッセル神戸に在籍したMFチョン・ウヨン(31、アル・サッド)が主力を務めていた。
しかし今回、代表参加のために搭乗した帰国便に新型コロナウイルス陽性者が同乗していたことが発覚。韓国の防疫指針に従い9月7日まで隔離されることとなったため、離脱を余儀なくされていた。
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ベント監督は離脱したチョン・ウヨンに代わり、MFチュ・セジョン(30、ガンバ大阪)を追加招集した。ただ、今回のイラク戦では2次予選から招集を受けてきたソン・ジュンホを送り出した。
DFラインの一列手前でフィルターとなる役割を担ったソン・ジュンホだったが、不安定なパフォーマンスに終始した。
一度イラクに決定的なスルーパスを通されるなど安定感がなく、前半35分には相手のカウンターを阻止したことでイエローカードも受けた。イラクの固い守備を破るには左右に素早く揺さぶるパスが必要だったが、それも履行されなかった。
結局、ベント監督はハーフタイムでソン・ジュンホをベンチに下げ、代わりにより攻撃的なMFナム・テヒ(30、アル・ドゥハイル)を投入した。ベント監督はナム・テヒを一列上げる代わりにMFファン・インボム(24、ルビン・カザン)を一列下げ、攻守を連結する役割を任せた。
ベント監督は試合後、「ソン・ジュンホの代わりにナム・テヒを投入し、ファン・インボムを守備的MFに配置したのは、素早いボール循環のためだった」と采配の意図を明かしている。
ファン・インボムはボールキープとパスに優れた中盤の選手だ。ただ、正統な守備的MFではない。左右に散らすパスというよりも、より直線的で攻撃的なスルーパスを試みるタイプだ。
今回、ソン・ジュンホが不安定さを露呈したことで、韓国はファン・インボムとチュ・セジョンで3列目を構成せざるを得なくなった。
初戦を引き分けで終えただけに、来る7日のレバノン代表戦では必勝が求められる。中盤の攻勢をめぐるベント監督の悩みは深まるばかりだ。
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