「チョン・ウィソン会長がアン・サンに電話をかけ、“緊張するな”と…」
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“天下無敵”の韓国アーチェリーの相次ぐ金メダル獲得には、選手たちの骨身を削る努力だけでなく、韓国アーチェリー協会の徹底した支援が調和した結果だ。
協会はこれまでも、五輪開催地の気候や特性を考慮し、選手たちがあらかじめ現地に適応できるよう、あらゆる支援を惜しまなかった。
今回の東京五輪でも、鎭川(チンチョン)国家代表選手村に夢の島公園アーチェリー場と似たセットを作り、選手がすでに東京に来たような雰囲気を感じながら練習できるようにするなど、メダル獲得に尽力した。
その中心には、“アーチェリー愛”にあふれる韓国アーチェリー協会のチョン・ウィソン会長の“スーパーリーダーシップ”があるといっても過言ではない。
チョン会長は自身が経営する現代車グループの未来車研究開発技術をアーチェリーに融合させるなど、選手の技量向上に誰よりも関心が高い。グループレベルでアーチェリーの科学化に導くなど、物心両面で強化に取り組んでいる。
それだけでなく、チョン会長は他競技の協会長やグループのトップと比べて選手と気兼ねなく接し、精神的支柱の役割も果たす。
特に、混合団体と女子団体で金メダルを獲得し、女子個人で3冠達成を控えていたアン・サン(20)が予期せぬ議論に巻き込まれたときも、チョン会長は誰よりも積極的にサポートに出た。
アン・サンは最近、一部の男性ネットユーザーから「フェミニストだから短い髪をしたのではないか」という主張とともに、SNSで過去に一部男性嫌悪的表現とみられる書き込みをしたとして誹謗中傷を受けた。韓国勢として夏季五輪初の3冠を控えていた2001年生まれのアン・サンとしては、予想外の状況だったはずだ。
そこで、チョン会長は“マンネ(末っ子)”のアン・サンが外部の雑音で動揺してしまうことを考慮し、自ら連絡を取った。
女子個人が行われた7月30日、取材陣と会った協会のチャン・ヨンスル副会長は、「会長から今朝6時半に連絡が来た。“アン・サンに連絡したいが大丈夫か”ということだった。監督にも同じ内容の連絡をしていたようだ」と、チョン会長が周囲の関係者を通じて雰囲気を察していたことを明かした。
そして、アン・サンが午前の3回戦に臨む前、チョン会長は自身が企業を経営しながら根拠のない非難で苦労した話を伝えるなど、心を込めた助言を送ったという。その結果、アン・サンは同日の3回戦で鋭い弓を披露した後、ついに韓国勢史上初となる夏季五輪3冠を達成してみせた。
これに先立ち、チョン会長は準々決勝で敗退したカン・チェヨン(25)と会って慰めたりもした。また、混合団体と男子団体で金メダルを獲得したキム・ジェドク(17)にも、明るい未来のために「英語の勉強を頑張れ」と助言したという。
チャン副会長は、「会長からキム・ジェドクに、自分が支援するから(英語関連の)ラジオなどを聞いて頑張れと激励した」と伝えた。
チョン会長はアジアアーチェリー連盟の会長職も受け持っている。種目団体のトップといえば、大抵は競技場のラウンジで過ごしながら大会を見守り、交流するのに忙しい。
しかし、チョン会長はアメリカへの出張を終えてすぐに東京にいる選手団に合流し、毎試合をVIP席ではなく観客席で観戦し、選手の練習場にも同行するなど情熱を見せている。
韓国アーチェリーが女子団体9連覇、男子団体2連覇、混合団体初代王者、アン・サンの3冠達成など優れた結果を残し続ける背景には、こうした種目のトップの真正性のある歩みが礎となっている。
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