見慣れた顔が次々と脱落するなか、ニューフェイスのMFイ・ガンイン(20、バレンシア)が生き残った。それだけ信頼が厚いという意味だ。
U-24韓国代表の“末っ子”イ・ガンインは、6月16日にキム・ハクボム監督が発表した2次招集メンバー23人に名を連ねた。1次招集メンバー30人のうち、3分の1にあたる9人が選外となった一方で、イ・ガンインは生存に成功した。
キム監督は今回、これまで2年半近くをともにした東京五輪世代の教え子の多くを脱落冴えた。
知名度や所属チーム、人気、これまでの貢献度をすべて除き、現時点のパフォーマンスやポジションでの競争力のみを基準にして21人を決定。1次招集メンバーから外れていたFWソン・ミンギュ(21、浦項スティーラース)、FWキム・デウォン(24、江原FC)を含めた計23人で、東京五輪前最後のサバイバルを戦う。
いつになく冷酷な判断を下したキム監督がイ・ガンインを残したのは、それだけのパフォーマンスがあると判断したからだ。
イ・ガンインはこれまで、キム監督率いるU-24韓国代表でプレーしたことがない唯一の選手だった。
2020年1月のU-23アジア選手権以降、キム監督は多くの選手を代表に招集し、技量をチェックしてきたが、イ・ガンインだけは一度も合流したことがなかった。キム監督はイ・ガンイン招集のためあらゆる努力を傾けたが、所属チームのバレンシアが派遣を拒否したことで実現しなかった。
結局、欧州のシーズンが終了し、東京五輪が差し迫った5月になって初めてキム監督とイ・ガンインが同じチームで呼吸を合わせられるようになった。
初めての招集ながら、満足できる結果に終わった。12日と15日に行われたU-24ガーナ代表との国際親善試合で、第2戦に先発出場したイ・ガンインは、活発な動きでU-24韓国代表の攻撃をけん引。前半途中までは慣れない様子だったが、試合時間が経つにつれて存在感を発揮した。
特に、コーナーキックやフリーキックなどオフ・ザ・ボールの状況では、持ち味の精度の高いキックでチャンスを創出。U-24韓国代表デビュー戦であることを考慮しても、十分に合格点を与えられるパフォーマンスだった。
イ・ガンインを初めて近くでチェックし、指導したキム監督の評価は肯定的だという。元々も技量やポテンシャルだけでなく、ポジティブな思考とチームの雰囲気を引き上げるエネルギッシュさを高く評価したようだ。
とある関係者は「U-24韓国代表初招集であり、チーム内で最も若いイ・ガンインがプロフェッショナルな姿を見せた。(東京五輪本大会まで)残り1カ月という期間があるため、チームにとって大きな力になると期待している」と語った。
ただ、イ・ガンインのポジションは競争が激しい。U-24韓国代表の2列目、特に攻撃的MFのポジションには、MFキム・ジンギュ(24、釜山アイパーク)やMFイ・ドンギョン(23、蔚山現代)ら3~4歳年上の先輩が構えている。
2人ともKリーグで安定した活躍を見せる経験豊富な選手なだけに、最終エントリー18人のうちに選ばれてもおかしくない。
U-24韓国代表の中ではまだ“チャレンジャー”の立場にあるイ・ガンイン。東京五輪直前の2次招集メンバー内でアピールに成功してこそ、キム監督の選択を受けることができるはずだ。
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