サッカー韓国代表の“サイドバック欠乏症”が、今や警告灯から赤信号に変わりつつある。
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それは、先日の“日韓戦”を控えて選手招集の話題の中心に立った左サイドバックのホン・チョル(30、蔚山現代)の事例だけを見ても感じられる。
元々コンディション不良だったホン・チョルを招集したことについて、パウロ・ベント監督は韓国国内で批判を受けていた。
ところが、ベント監督は“日韓戦”当日にホン・チョルをフル出場させた。日本の攻撃陣はホン・チョルのいる左サイドを狙い続けていたが、ベント監督はまったく意に介さない様子だった。「コンディションが良くなくても、ホン・チョルに代わる選手はいない」と叫んでいるかのようだった。
韓国サッカー界は以前から、A代表だけでなく世代別代表でも、国際的に競争力を持つサイドバックの選手が急激に減少し、“サイドバック飢饉”に陥っている。
2018年ジャカルタ・アジア大会を基点にキム・ジンヤ(22、FCソウル)、キム・ムンファン(25、ロサンゼルスFC)、イ・ユヒョン(24、全北現代モータース)、ソ・ヨンジェ(25、大田ハナシチズン)らが次世代のサイドバックに挙げられているが、いまいち成長の傾向が目立っているわけではない。
韓国の“サイドバック飢饉”が日を追うごとに深刻になっているのはなぜだろうか。
まず、守備地域においてもマルチプレーヤーの需要が高まり、サイドバック専門より中央もこなせる選手を多く起用する傾向とかみ合っているという見解がある。また、攻守どちらも負担を抱えるポジションという特性上、有望株が選択を避ける現象もある。
韓国サッカー協会(KFA)出身で、現在は全南(チョンナム)ドラゴンズで指揮を執るチョン・ギョンジュン監督は、この“サイドバック飢饉”の原因についてこう見解を語る。
「選手は誰もが主演を望んでいる。しかし今は、アマチュアから“サイドバックは実力が劣る選手がプレーするポジション”と認識されている」
「プロに上がってくる選手のうち、幼いころからサイドバックとしてプレーしている選手の数が不足するしかない」
「サイドバックを単にサイドの守備だけをさせるポジションとして活用するより、戦術の核において活用すれば、選手も考えを変えるだろう。選手の問題ではなく、指導者の努力も必要だ」
また、現役時代にサイドバックとして活躍し、韓国代表に選ばれた経験のあるFCソウルのパク・ジンソプ監督は、韓国サッカーで見られている現象について語った。
「(最近になって)ウィンガーなど攻撃を担当した選手が本来の役割を果たせず、サイドバックにポジションを下げるケースが多い。基本はできるが、繊細さに欠けるしかない」
「韓国代表レベルには(サイドバックとしての)生まれつきの感覚と専門性を持ち合わせる必要がある」
続けて、指導者の努力だけでなく、選手自身の認識も変わらなければならないと述べた。
パク監督は「(現代サッカーにおいて)サイドバックはサイドの守備だけをするのではない。マルチロールな選手として活用されることもある。(ポジションを避けようとせず)認識を変えながら挑戦する必要がある」と強調した。
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