アジア人初の得点王に向かって驀進…プレミアで猛威を振るう“ソン・フンミン恐怖症”

イングランド・プレミアリーグで“ソン・フンミン恐怖症”が流行するのか。

プレミアリーグのトッテナムに所属するソンフンミン(28)が4試合連続でゴールを奪い、キャリア最速での2桁得点を達成した。

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ソン・フンミンは10月27日(日本時間)に行われたリーグ第6節バーンリー戦でハリー・ケイン、ルーカス・モウラらとスリートップの一角として先発出場し、0-0で迎えた後半31分に頭で決勝点となる先制弾を決めた。これはリーグ8得点目であり、シーズン10得点目(UEFAヨーロッパリーグでの2ゴールを含む)だ。

10月5日に行われたマンチェスター・ユナイテッドとの第3節で2ゴールを決めた彼は、ウェストハム(プレミア第4節)、LASKリンツ(UEFAヨーロッパリーグ)に続いて4試合連続ゴールとなった。

ソン・フンミンはキャリア最短でシーズン2桁得点記録を打ち立てた。2015年夏にトッテナムに加入して以来、プレミアで6シーズン目を迎えた彼のこれまでの最短2桁得点記録は、昨年の2019-2020シーズンだった。

奇しくも昨年の2桁得点達成時の相手も、今回と同じ相手であるバーンリーだった。2019年12月8日に行われた公式戦20試合目での達成がこれまでの最短記録で、今シーズンはわずか9試合(EPL6試合・ヨーロッパリーグ3試合)で達成し、半分以下での達成となった。

試合後に笑顔でインタビューを受けるソン・フンミン

ソン・フンミンの驚異的なスタッツ

特に今シーズンは新型コロナウイルスの影響により、シーズン開始時期が従来よりも遅れて9月初頭となったにもかかわらず、6試合で8ゴールを決めるという怪物ぶりを発揮した。

直前のラウンドまでプレミア得点ランキング首位だったドミニク・カルバート=ルウィン(7ゴール、エバートン)を抜き、ソン・フンミンが8ゴールで単独首位に立った。アジア人選手初となるプレミアリーグ得点王に向けて、また1歩近づいた。

この日も1度のチャンスを確実に決めきる“ワンショット・ワンキル”が発動した。バーンリーDF陣は並外れたゴール嗅覚を誇るソン・フンミンとケインのコンビを阻止するため、中盤とDFラインが間隔を狭めて守備ブロックを構築した。特にソン・フンミンがアタッキングサードでボールを持った際は2~3人で鋭いプレスをかけ、スペースを与えず自由にさせないよう神経を使っていた。

トッテナムのスタッツは枠内シュート0本とバーンリーの守備に苦戦した。後半途中まで試合の様相は変わらなかったが、膠着状態を破ったのはやはりソン・フンミンだった。

今回もケインとの“黄金の連携”が輝きを放った。後半31分にエリック・ラメラが左足で蹴ったCKを、ゴール前中央に陣取っていたケインが相手DFを引き連れ後ずさりながら頭でそらした。ケインが相手DFを引き連れたことによりエアポケットが生まれ、そのスペースにスルスルと走り込んだソン・フンミンが、体を投げ出しながら頭で合わせてゴールネットを揺らした。

ソン・フンミン&ケインのコンビが生み出した今シーズン9度目の合作ゴールだ。

ソン・フンミンは今季わずか10回の枠内シュートで8ゴールを決めており、得点率はなんと80%に達している。9月20日のサウサンプトントン戦では4ゴール、10月4日のマンチェスター・ユナイテッド戦では2ゴールと数少ないチャンスを確実にものにしている。

ライバルクラブのOBたちも絶賛の嵐

イギリスの『テレグラフ』紙は「ソン・フンミンは相手DFにとっての恐怖の対象となっている」と、凄まじい決定力に注目した。

トッテナムのライバルとして現役時代に激しい戦いを繰り広げたプレミアOBたちは、“ソン・フンミン恐怖症”についてこう語った。

現役時代はマンチェスター・ユナイテッドでデイビッド・ベッカムやウェイン・ルーニーらと一時代を築いた元イングランド代表DFガリー・ネヴィルは「ソン・フンミンは過小評価されている選手だ。私たちはラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、モハメド・サラー、サディオ・マネ(リバプール)についてよく話しているが、ソン・フンミンについても同等のレベルだ」と褒め立てた。

リバプールのレジェンド、ジェイミー・キャラガーも「スターリングやマネがチームを離れた場合、グアルディオラ監督やクロップ監督にとってソン・フンミンは最重要ターゲットとなるだろう」と強調した。

特に左右両足から放たれる決定力の高いシュートと、並外れたスプリント力を併せを持ったソン・フンミンは、今やプレミアトップクラスのDFにとっても“アンタッチャブル”な存在となっており、調子の上がらないギガクラブにとっての最適解となりうるかもしれない。

トッテナムの選手たち

爆発力だけではなく継続性も

ソン・フンミンはワールドクラスのストライカーの指標とされる2桁得点を5シーズン連続で達成している。

トッテナム2年目だった2016-2017シーズンの21ゴールを皮切りに、2017-2018シーズンに18ゴール、2018-2019シーズンに20ゴール、2019-2020シーズンには18ゴールを記録した。

加えてドイツ・ブンデスリーガ時代の2012-2013シーズンには12ゴール(ハンブルガーSV)、2013-2014シーズンには12ゴール、2014-2015シーズンには17ゴール(バイヤー・レヴァークーゼン)といった記録を併せると、欧州でのキャリア11シーズンでなんと8度の2桁得点を記録している。

これは韓国のレジェンド、チャ・ボングム氏(Kリーグ水原三星前監督)が保有している、アジア人欧州最多シーズン2桁得点の7回を超えており、1つの歴史を塗り替えたこととなる。

絶好調のソン・フンミンには国内外問わず、ギガクラブからオファーが殺到するだろう。現在チームメイトであるケインと阿吽の呼吸を見せている彼のキャリアがこれからどんな道筋を辿るのか、そして今季のプレミアリーグでアジア人選手として初の得点王のタイトルを勝ち取れるのか、非常に目が離せないトピックスだ。

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