政府の監査も受けた韓国サッカー協会、会長選は「無風の現職4選」で終結 物議多数も圧倒的得票率“85.7%”の理由

2025年02月27日 サッカー

韓国サッカー協会(KFA)の会長選挙は「異変なき4選」で終結した。

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2月26日、ソウル新門路(シンムンロ)のサッカー会館で行われた第55代KFA会長選挙の結果、現職のチョン・モンギュ会長が有効得票183票(選挙人団192人)中156票を獲得し、85.7%の圧倒的な得票率で再選を果たした。

ほかの候補者は、ホ・ジョンム氏が15票(8%)、シン・ムンソン氏が11票(6%)にとどまった。また、1票が無効票だった。

2013年にKFA会長に当選したチョン・モンギュ会長は、今回で4選に成功。任期は2029年までとなる。

スポーツ界トップも会長交代したが…「唯一再選」のKFA

今回の会長選挙は、チョン・モンギュ会長が昨年に大韓体育会のイ・ギフン前会長、韓国バドミントン協会のキム・テッキュ前会長らとともに、政府の文化体育観光部の特別監査を受けただけに、今まで以上に注目を集めた。

イ・ギフン前会長、キム・テッキュ前会長は各団体の会長選挙で落選していただけに、KFAでも会長交代の可能性に関心が寄せられていた。

しかし、実際には得票率が証明したように、韓国サッカー界は「チョン・モンギュ会長以外に代案はない」という見解で一致した。

大韓体育会では、元男子卓球代表の“選手出身”であるユ・スンミン氏が42歳で新会長に当選した。同氏は2004年アテネ五輪金メダリストであり、引退後もIOC(国際オリンピック委員会)選手委員や韓国卓球協会会長などを歴任するなどの行政力が評価された。

ただ、サッカー界では影響力のある若手サッカー人が外部から問題に口を挟むだけで、自ら責任を負って会長選に挑もうとする人物はいなかった。

そのため、多くの選挙人は過去の任期に「天安(チョナン)サッカー総合センター建設」「ディビジョンシステム構築プロジェクト」などを進め、国際サッカー連盟(FIFA)など国際サッカー界とも着実に交流のあるチョン・モンギュ会長を、「最も安定してKFAをけん引できるリーダー」として評価した。

「85.7%」という得票率は歴代の会長選挙で最も高い数字だ。チョン・モンギュ会長体制は内部で圧倒的な指示を受けながら、4期目も各種政策を進めていくことだろう。

チョン・モンギュ
(写真提供=韓国サッカー協会)チョン・モンギュ会長

KFAが解決すべき「政府との関係性回復」

とはいえ、現体制には解決すべき課題も多く存在する。最大のカギは韓国政府との関係性回復だ。

チョン・モンギュ会長は3期体制において、不正行為を犯したサッカー関係者に対する奇襲的な赦免措置などさまざまな騒動で物議を醸した。問題は政界でも話題になり、昨年の国政監査出席へと至った。

ただ、多くのサッカー関係者は、独立性と自立性を持った競技団体の行動を牛耳ろうとする一部政治家の態度に不満を抱いた。実際、競技団体の運営に対する理解が低い一部政治家の非難によって、サッカーだけでなく多数の団体が被害を受けた。

そんななか、文化体育観光部はKFAが天安サッカー総合センター建設と関連して国庫補助金56億ウォン(日本円=約5億8136万円)を流用したと監査で指摘し、回収とともに課徴金を課した。また、チョン・モンギュ会長に対する懲戒まで要求している。

これに対し、チョン・モンギュ会長は「政府との関係は疎通が重要だ。意思決定の過程を説明すれば、誤解を解くことができるだろう」と対話の意思を示している。

そのほか、チョン・モンギュ会長自身も認めた「協会内部のコミュニケーション問題」も改善されなければならない。

チョン・モンギュ会長3期体制は「耳を閉じた組織」と呼ばれた。主要な懸案に対するメディアやファンの批判に「無対応原則」を貫いたからだ。奇襲的な赦免騒動でもこのような姿勢に一貫した結果、外部から多くの非難を浴びる形となった。

チョン・モンギュ会長は「協会はサービス団体だ。声を聞くだけで問題の半分が解決される」と組織改革を約束したが世論は冷たい。今回の4選で韓国サッカー界に“変化”は起きるのか、今後の動向に注目したい。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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