2012年の韓国大統領選で、パク・クネ(朴槿恵)前大統領陣営「国民幸福推進委員会」の共同選挙対策委員長を務め、見事勝利させたことで“キングメーカー”としての地位を確立した政治家のキム・ジョンイン(金鍾仁)氏が、「国民の力」選挙対策委員会(以下、委員会)の総括選挙対策委員長から辞任することとなった。
「国民の力」のキム総括選挙対策委員長(以下、委員長)は1月5日、現職から自ら退く意思を明らかにした。キム委員長は同日、韓国メディア『聯合ニュース』の電話取材に対して、「選挙対策委員会の改編は次期大統領のために行うものなのに、クーデターの状況だと言われたので、意見が合わなければ別れることになる」と述べた。
キム委員長は今回の辞任について、「(私は委員会に)無理やり連れて来られたのに、未練を持つ必要はない」と言及している。
発表に先立ち、キム委員長は委員会への合流を巡り、ユン・ソギョル(尹錫悦)候補と長い間駆け引きをしてきた。そして、2020年12月4日、行方をくらましていたイ・ジュンソク代表と劇的に合流し、ユン候補の支持率上昇に寄与することとなった。
しかし、1カ月も経たないうちに、ユン候補の夫人であるキム・ゴンヒ氏の虚偽経歴問題が明るみになっただけでなく、ユン候補自身も妄言や失言が続いたため、大統領選の支持率は急落。
党をまとめると言い、責任を負ったキム委員長は3日、「委員会を全面改編する」と解体を宣言した一方で、ユン候補直属の組職として多くの人々を迎え入れた新時代準備委員会にまで手をつけた。
この過程でユン候補が排除されるという議論が起こり、すでに委員会から手を引いていたイ代表をはじめ、キム委員長が候補全員を“案山子”と考えているのではないかという言葉も出た。
なお、キム委員長の委員会見直しに反発したユン候補は4日、記者会見でキム委員長の解職を含む委員会刷新構想を明らかにすることを知らせている。
しかし、“新人政治家”のユン候補のもとから、熟練した策士の役割を果たしてきたキム委員長が去ることにより、「国民の力」が弱体化するのではないかという懸念も出ている。
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