コロナ禍でも黒字経営の大韓航空…人員削減せずに済んだ“逆転の発想”とは

12月8日、ソウルの商工会議所で開かれた「企業革新大賞」で大韓航空が大統領賞を受賞した。

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今年で27回目を迎えた「企業革新大賞」は、韓国の産業通商資源部と大韓商工会議所が主導となり、企業の経営革新優秀事例を発掘して広めるという名目で、経営革新性に優れた企業に与えられる賞だ。

全従業員の雇用維持に加え、第2四半期、第3四半期と連続で営業利益黒字を達成した点が高く評価されたという。

韓国の航空会社のコロナ対策とは

未曾有の新型コロナ感染拡大で、各国の航空業界が危機に陥るなか、大韓航空は先手を打って貨物の供給を拡大し、緊急救援物資など急増する貨物需要を先取りする革新的な戦略を取り入れた。

平時は旅客機として使用している機体を貨物需要が豊富な路線に積極的に投入し、座席に安全に貨物を搭載することができるカーゴシートバッグ(Cargo Seat Bag)を取り入れて貨物輸送に活用している。

大韓航空の旅客機(イメージ)

さらに旅客機の座席を取り外して貨物運輸を拡大するなど、逆転の発想で戦略的に取り組み、貨物事業のみで第2四半期、第3四半期にそれぞれ1兆ウォン(約1000億円)以上の売り上げを記録した。

旅客機を貨物専用機体へと改造する作業は、単にシートを取り外すのではなく、機内の複雑な電気配線除去作業と貨物固定用に規格化された床ロックの取り付けなど、厳しい安全基準を満たすための高水準な技術と能力を必要とする。

ボーイング777-300ER旅客機の場合、航空機下部の貨物積載スペースに約22トンの荷物を収納することができるが、客室の座席を取り外すことで約10トンの貨物を追加で搭載することができ、中型貨物機クラスの供給力を確保した。

最新技術も積極的に導入していち早く対応

また、大韓航空は柔軟な組織文化を構築することで社内コミュニケーションを強化。クラウドベースのGoogle Workspace(旧称:G Suite)など最先端のIT技術を導入し、新型コロナ流行の危機的状況においても非対面業務に迅速に対応したという点で、模範企業に選ばれた。

これらの成果は、危機脱出に向けて献身的に参加した従業員の努力と、迅速な意思決定でピンチをチャンスに転換したチョ・ウォンテ韓進グループ会長の“危機突破能力とリーダーシップ”が功を奏したという評価を受けている。

この日の授賞式に出席したウ・ギホン社長は「コロナ危機克服のため、全社員の参加と犠牲があったからこそ貴重な成果を得られた。今回の受賞をきっかけに、様々な経営革新と成長を持続し、ポスト・コロナ時代をリードするグローバルな航空会社として発展していく」と述べた。

大韓航空のウ・ギホン社長(中央)

なお大韓航空は、新型コロナワクチンの輸送に必要な「医薬品輸送のための資格」(CEIV Pharma)と、その専門設備も備えており、9月から新型コロナワクチン輸送のためのタスクフォースチームも構成。差別化された貨物事業のノウハウとグローバルネットワークをもとに、航空業界の新たな基準を確立し、模範事例を提示している。

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