韓国で兵役忌避者の情報公開をめぐる議論が広がっている。
9月9日、国会国防委員長を務める与党「国民の力」のソン・イルジョン議員は、「兵役忌避者の個人情報をメディアに公開できるようにする『兵役法一部改正案』を代表発議した」と明らかにした。
現行の兵役法第81条の2では、兵役忌避者の個人情報を「兵務庁ホームページ」で公開できる規定があるが、改正案はこれを「メディアの要請があった場合の提供」にまで拡大する内容だ。正当な理由なく“兵役逃れ”をした者を報道を通じて公開し、兵役忌避に対する警戒心を高め、公正な兵役文化を根付かせる狙いがある。
現在、兵務庁は兵役忌避者の氏名・年齢・住所・忌避の概要などをホームページに公開している。しかし、兵役忌避者は2021年の281人から2022年に355人、2023年には422人へと増加しており、制度の実効性には疑問が呈されてきた。
今回の兵役法改正案のポイントは、兵役忌避者の情報をメディアに提供できる法的根拠を設ける一方、事前通知や弁明の機会付与といった権利保護手続きは現行通り維持する点にある。
ソン議員は「今回の改正案は、既存の権利保護手続きを損なうことなく兵役義務の実効性を高めるために用意したものだ」と説明。そのうえで「国家のために誠実に軍服務を果たした人々が、兵役忌避者の存在によって剥奪感を抱かないよう、今後も正しい兵役文化の確立に力を尽くしていく」と強調した。
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