韓国40万人の声が裁判所を動かした。
未成年女性を脅迫してわいせつ映像を制作、SNSに流布した“n番の部屋”事件の担当判事が3月30日、電撃的に交代となった。
【注目】韓国が震撼する“n番の部屋”事件、26万人とされる「会員」に処罰は下るのか
韓国大統領府に設置された「国民請願」の影響で、3月27日に上がった「n番の部屋担当判事オ・ドクシクの判事席を反対、資格はく奪を請願します」との請願には5日間で42万人を超える署名が集まった。
国民請願によって担当判事が変更となったのは今回が初めてだ。
ソウル中央地方裁判所は、“n番の部屋”事件の被告人として「太平洋」というニックネームで活動したイ容疑者(16)の担当裁判部を、オ・ドクシク部長判事が担当する刑事20単独から、該当裁判部の代理部である刑事22単独(パク・ヒョンスク判事)に変更したと明らかにした。
裁判所は「事件を処理するにあたり担当裁判長が著しく困難な事由があると認められ、担当裁判長がその理由を記載した書面で交代を要求した」とし、「これについて“裁判官などの事務分担および事件配当に関する例規”に基づいて、上記の事件を再配当した」と説明した。
オ・ドクシク判事の名前が一般的に知られたのは、2018年、KARA出身の故ク・ハラの元恋人チェ・ジョンボムの裁判からだ。当時ク・ハラは、チェ・ジョンボムを性暴力犯罪処罰などに関する特例法違反(不法撮影)、傷害、脅迫、財物損壊などの嫌疑で告訴した。
その事件で裁判所は、「チェ・ジョンボムは2人が交際中に撮影した映像を報道機関に流布すると脅迫したが、問題の映像は被害者が自ら撮ったものであり、被告人もそれを実際に流布しなかった」とし、「その後にク・ハラが関連映像を削除したが、それを盗撮したと見ることはできない」と、関連容疑について無罪を宣告した。
チェ・ジョンボムは一審で懲役1年6カ月、執行猶予3年を宣告され、検察とチェ・ジョンボムは、すべての裁判結果を不服として控訴した。2019年11月にク・ハラが亡くなったが、刑事事件であるだけに関連控訴審は予定通り行われる。
その後もオ・ドクシク判事は、2019年8月には、自ら命を絶った故チャン・ジャヨンに“性上納”を強要した容疑で起訴された元『朝鮮日報』記者に無罪を宣告し、2019年11月には、結婚式場の床に隠しカメラを設置して3年間も不法撮影を行ったカメラマンに執行猶予を宣告するなどして、論議となった。
一言でオ・ドクシク判事は、性犯罪に対して不可解な宣告を下してきたと見られている。そんな彼が、被告人が未成年者である“n番の部屋”事件を担当することになったため、反対の声が高まったのだ。
5日間で42万人もの署名を集めた関連請願で、請願人は「チェ・ジョンボム事件の判決と被害者の故ク・ハラの2次被害で多くの大衆から怒りを受けた判事だ。その後、数多くの性犯罪者たちにあっけない判断で罰金や執行猶予といった寛容な判決を下した過去も明らかになり、国民の批判を買っている」と述べた。
続いて「そんな判事が今、性搾取、人身売買犯罪を担当するとは到底信じられない。司法部の選択が疑わしい。誰もが26万人の犯罪者を捕まえるために努力しても、最終的に法が彼らを守るのであれば、何の役に立つのか」とし、「被害者を考えるならば、国民の人権を考えるならば、彼は二度と性犯罪の判事になってはならない」と請願した。
一方、イ容疑者の裁判を担当したオ・ドクシク判事は、検察の期日延期で3月30日に開く予定だった初公判を開かなかった。
40万人を超える人が“排除”を請願したことに続き、裁判所で「オ・ドクシク判事を交代せよ」との市民団体の奇襲デモが行われたことで、オ・ドクシク判事は自ら裁判から身を引いたと思われる。
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