韓国テレビ局の憂慮が現実になってしまった。
韓国のカルト宗教団体「アガドンサン」が、Netflixドキュメンタリー『すべては神のために:裏切られた信仰』を製作したMBCとチョ・ソンヒョンPD、そしてプラットフォームのNetflixを相手に、放送禁止仮処分申請書をソウル中央地裁に提出したことが3月13日に確認された。
アガドンサンは「『すべては神のために』の5、6話は、アガドンサンおよびキム・ギスン教祖に対する虚偽の内容を含んでいる」と主張。配信を継続する場合、違反として1日当り1000万ウォン(約100万円)の間接的な強制支払いまで申請したという。
だが、今回の事態は事前に予測されたことだった。
先立って10日に『すべては神のために』の記者懇談会が行われた際、チョPDは「アガドンサン側が訴訟を準備中だという情況をキャッチした」とし、「過去にも一度、放送が不可能になったことがあるので、アガドンサン編はもしかしたら配信が停止する場合があるので、あらかじめ見てほしい」と要請していた。
アガドンサンは今回、前例をもとに放送禁止仮処分申請に踏み切ったとみられている。
2001年、アガドンサンはSBSの時事番組『それが知りたい-アガドンサン、その後の5年』を対象に放送禁止仮処分申請を提起し、それを裁判所が認めたことがある。そのため、テレビ業界は今回の事態を興味深く注視しているようだ。
さらに、番組で扱った他の教祖たちとキム・ギスンは立場が多少異なる点も有利な点とみている。
アガドンサンと同じく、『すべては神のために』で扱われたキリスト教福音宣教会(摂理)のチョン・ミョンソク教祖や、万民中央教会のイ・ジェロク牧師の場合、収監もしくは実刑を受けており、五大洋(オデヤン)事件のパク・スンジャ教主はすでに亡くなっている。
一方、アガドンサンのキム・ギスンは現在も活動中であることから、放送禁止仮処分申請以外にも多方面に影響を及ぼしそうだというのが韓国テレビ界の大方の見方だ。
彼らのほかにも、韓国の宗教団体はテレビ局の時事番組に集団で反発する傾向が強い。放送禁止仮処分申請以外にも、大勢の信徒たちが局を訪れ、物理的にデモを行うケースも少なくないのだ。