先日、イギリスBBCの『BBC Two』の公式Facebookに、興味深い韓国語が取り上げられたという。
「こんな人をご存知ですか?」という質問とともに紹介されたその言葉は、「KKONDAE(コンデ)」。意味は「いつも自分が正しい(他人は間違っている)と信じる高齢者」となる。
韓国でこのことを伝えたニュース記事のコメント欄には、「姑を指す言葉をようやく見つけた」「結婚後の夫のことだ」「携帯に登録した父の名前をこれに変更しよう」「私のことか?」とさまざまな反応があった。
そもそも韓国では毎年、さまざま流行語や造語が生まれる。
昨年は作家・村上春樹と安西水丸共著のエッセイ集『ランゲルハンス島の午後』で用いられた「小さいけど確かな幸せ」の略である「ソファクヘン(小確幸)」が流行語になったが、イギリスBBCが取り上げたことで、今年は「コンデ」も流行語候補のひとつになりそうだ。
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実は「コンデ」という言葉は、韓国で昔から使われている言葉なのだという。日本でいう「老害」と一脈通じるが、深堀りしていくと韓国社会特有のヒエラルキーと時代の変化もうかがえる。
韓国メディア『東亜日報』によると、もともと「コンデ」は親や教師を指す若者の隠語として、1960年代の同紙の記事にも登場していたらしい。
ところが、2010年代に入って「権威主義的な思考や態度を見せる人」へと意味が広がり、今や隠語というより流行語に近い感じで使われている。
振る舞い・行為などを意味する「ジル」を付けた「コンデジル」や「コンデっぽい」、そして20~30代に使う「若いコンデ」といった変化形もある。
韓国の国立国語院は「コンデジル」について、「既成世代が自身の経験を一般化して若い人に考えや行動などを一方的に強制する行為の俗語」と定義している。つまり、「最近の若者は…」と愚痴る人も「コンデ」といわれてしまう可能性が高いわけだ。
実は今年5月にも、イギリスの『エコノミスト』が「コンデ」を取り上げていた。
韓国のことを「年齢と性別、勤続年数による職場の上下関係の悪名が高い」とし、若者たちがこういう習わしに反発し始めたと分析している。同紙による「コンデ」の意味は以下の通りだ。
「若者たちの服従を当然視し、威張る人」
「他人への批判は素早いが、自分への批判は決して認めない人」
「自分の権威を脅かす人に報復する人」
歳をとればとるほど、新しいものを受け入れるのが億劫になりがちだ。しかし、中高年だからこそ発揮できる寛容力と知恵もある。知らないうちに「コンデ」になっていないか、振り返ることも時には必要かもしれない。
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