アイスランドでは今、世界的な人気を誇るゲーム『LEAGUE OF LEGENDS』(リーグ・オブ・レジェンド、以下LoL)の国際大会「Mid-Season Invitational」(MSI)が開催されている。
MSIとは春と夏の間に行われる大会で、毎年10月から11月に開催されているLoL最大の国際大会「World Champion Ship」(WCS)に向けた前哨戦のような位置づけだ。大会には11の地域リーグで優勝したチームが集結するのだが、アジアからは韓国以外にも、日本や中国のチームが参戦している。
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2015年から始まったこの大会で、優勝2回(2016、2017年)、準優勝2回(2015、2018年)と最多優勝を誇るのが韓国勢だ。
圧倒的な実績は、“韓国人男性でLOLをプレイしたことがない人はいない”と言われている環境に起因しているのかもしれない。ゲームをしない人でも「LOL」という名前は知っているほどだ。
では、なぜ韓国でLoLがここまで高い人気を誇っているのか。その背景には韓国ならではのゲーム環境に理由があるようだ。
まず1つ目は、2011年にLoL運営会社であるライアットゲームズの韓国支社が誕生したことが挙げられる。
韓国でLoLの正式サービスが開始されたのは2011年だが、それ以前から韓国ではLoLがヒットする兆候はあった。ライアットゲームズ本社がある北米のサーバーに、韓国からのアクセスが多く、アメリカのゲームとしては当時珍しかった韓国版のファンページも作られたほどだったという。
この反応に目を付けたライアットゲームズ本社は、韓国内のゲーム流通会社から好条件を提示されたにもかかわらず、韓国支社を設立し、LoLの正式サービスを開始。支社の設立がが、韓国でのLoL普及に弾みをつけることとなった。
支社であるライアットゲームズ・コリアは韓国eスポーツ大会側と一早く連携し、互いにフィードバックを継続して行いながら、プレイヤーが抱いたキャラクターやゲームへの不満点を解決してきたという。こうした取り組みが、韓国でのLoL人気を加速させたのだ。
2つ目は、お金に関することだ。LoLの出現まで一般的にプレイされていたオンラインゲームでは、RMT(リアルマネートレード。アイテムやキャラクターなどゲーム内のデータを、現実のお金で売買する行為)の有無に応じて、課金プレイヤーと非課金プレイヤーを区別し、課金へと誘導するような形態が多かった。
一方LoLは、課金がゲーム内でのキャラクター能力値に影響を及ぼさず、すべてのキャラクターをゲーム内で獲得できる通貨で購入することができる点が他とは一線を画していた。
キャラクタースキンなど見た目に変化を及ぼすアイテムは課金での購入になるが、ゲームの実力には全く影響しないため、課金方式の模範例として現在でも挙げられているほどだ。
して最後の3つ目は、韓国ならではのゲーム環境に秘密がある。韓国ではオンラインゲームが盛んだが、家でプレイするのではなく“PCバン”(ゲーム専用のインターネットカフェ)で友達と一緒にワイワイ遊ぶという文化が根付いている。
PCバンの利用料金は1時間約1000~2000ウォン(約100~200円)程度と安いため、ゲームセンター感覚で利用できる。オンラインゲーム環境の発達に加え、LoLがPCバンでの多人数プレイに適した5 vs 5のチーム戦であることも、人気に貢献しており、現在でもPCバンでプレイされているゲームの過半数は、LoLだともいわれている。
このようにLoL文化を独自に発展させてきた韓国では、2018年に“LoL専用”の巨大eスポーツ施設「LoL Park」が作られたほか、“LoL界の魔王”と称されているプロゲーマーFakerなど、世界を舞台に活躍する選手も多数輩出している。
だからこそ今年のMSIでも、韓国勢の活躍が予想されている。今後も韓国でLOL人気は続いていくに違いない。
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