4月20日、歴史上初となる「日中韓eスポーツ大会」が2021年9月に開催されることが決定した。
そもそもこの大会は2020年2月に組織委員会が発足し、同年11月に開催予定だったものの新型コロナが直撃。延期が決まったあとも、開催に向けて努力を重ねてきたが、3カ国間の協議さえも難航していた。
同日、3国のeスポーツ大会組織委員会は合同会議も行い、ソウルのオリンピック公園で3カ国の代表選手が一堂に会する、オフラインイベントとして開催することも決まった。正式な日程は後日発表されるらしく、多彩な催しとともに3日間にわたって行われるそうだ。
多彩な催しが企画されるなどお祭り的なイメージも強いが、この大会に参加する日・中・韓の3国にはそれぞれ負けられない理由がある。
eスポーツの強豪国としてアジアをリードしてきたというプライドを持つ開催国・韓国はもちろん、2022年アジア大会をきっかけにeスポーツ界の覇権奪取を目論む中国、eスポーツ界での地位向上を狙う日本といった三者三様の立場が激戦を予感させている。
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同日の会議では競技種目も決まり、『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)が3カ国共通の推薦で決定。ほかには、『PUBG』(韓国)、『eFootball ウイニングイレブン 2021』(以下、ウイイレ。日本)、『クラッシュ・ロワイヤル』(中国)といったタイトルをそれぞれの国が選び、計4タイトルが正式種目となった。
3カ国共通の推薦で決まった『LoL』は、韓国が一日の長があるのではないだろうか。韓国は『LoL』の世界的プレイヤーで、“魔王”と称されているFakerを擁しており、もしも韓国代表として出場するとなれば日本と中国には苦戦が予想される。
また、日本が『ウイイレ』を選択した理由は、やはり世界大会での実績があるからだろう。コロナ禍以前の2019年12月、ソウルで行われた「第11回eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」のウイイレ部門で、日本はうでぃ選手が準優勝の成果を収めている。
この準優勝という結果は日本の総合優勝に大きく貢献し、2016~2018年にかけて同大会3連覇をはたしていた韓国代表の優勝を阻む結果となった。ちなみに韓国は決勝トーナメント1回戦でイタリアに敗れている。
そして中国も不気味な存在だ。2022年アジア大会開催国の中国は、eスポーツがエキシビション競技として行われた2018年のアジア大会以降、eスポーツへの事業参入や投資が急増し、中国各地の都市でeスポーツ大会が開催されてきた。
世界的な人気を誇る『LoL』のワールドカップともいえる世界大会「リーグ・オブ・レジェンド・ワールドチャンピオンシップ」が、2020年秋に上海で開催されたという事実が現在の中国の勢いを物語っているだろう。
今回使用されるゲームタイトルたちは、中国・杭州で行われる2022年アジア競技大会でも採用される可能性も高いと予想される。そのため、各国がこの大会に本気で勝ちにいくのか、はたまた手の内を明かさないよう慎重になるのかなど、それぞれの思惑を推察してみるのも面白いかもしれない。
そして、アジア大会を見据えた前哨戦という意味でも重要なイベントになることは違いないはずだ。
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