年明けから芸能人たちの離婚が相次いでいる韓国では今、“仮想離婚”バラエティが注目を集めている。
結婚から妊娠、出産、そして離婚までの全過程がコンテンツ化された状況だが、刺激性に対する憂慮の声も出ている。
4月4日には、JTBCの新バラエティ『離婚熟慮キャンプ:リロード』(原題)の初回が放送された。同番組は離婚について悩んでいる夫婦が、“離婚熟慮”期間と調整過程を仮想体験し、実際の離婚に対して現実的に悩んでみるという夫婦観察プログラムだ。
韓国では離婚熟慮制が施行されている。これは、夫婦が家庭裁判所に協議離婚を申請する際、子育て中の子どもがいる場合は3カ月間、いなければ1カ月間の熟慮する時間を与え、改めて離婚の意志を確認するという制度。衝動的な離婚を阻止するための制度を、番組で仮想体験できるというわけだ。
先立って1月には、スター夫婦が仮想離婚を準備し、実行する様子を映した『一度は離婚する決心』(MBN)が放送され、大きな波紋を起こした。これには元サッカー北朝鮮代表、元Jリーガーのチョン・テセ夫婦を含む3組の有名人カップルが出演し、仮想離婚を体験した。
3組の夫婦はいずれも実際の離婚過程を経験したことで、配偶者の大切さ、そして自身の至らなさなどを悟り、関係が深まる契機になったと明かしている。『一度は離婚する決心』はパイロット版が視聴者からの熱い関心を受け、4月中に再びの放送が決まっている。
こうしたなか、JTBCはスター夫婦ではなく一般人夫婦を対象にした仮想離婚コンテンツ『更新』(原題)を打ち出す。『更新』に出演する夫婦たちは合宿し、専門家たちの相談と夫婦ミッションを通じて関係改善を模索したあと、最後に離婚可否を最終選択することになる。
このような仮想離婚体験は、出演者にとって現実的に離婚について考える契機になりうる。離婚は決して恥ずべき事ではないが、慎重に悩まなければならない事案でもあるだけに、体験するということが有益なのは明らかだろう。
とはいえ、意図的な演出で刺激性ばかりを追い求めるために離婚をテーマにするのではないかという否定的な声も少なくない。
『一度は離婚する決心』『更新』に先立ち、これまで多様なプラットフォームで“離婚”を素材にしたバラエティは多数制作されている。すでに離婚したスター夫婦を取り扱った『私たち離婚しました』(TV朝鮮)を筆頭に、離婚を検討している夫婦が関係を振り返る過程を描いた『あなたの結婚はこんにちは』(SBS Plus)、『結婚と離婚の間』(TVING)などが該当する。
刺激とドーパミンを常に求める現代人の特性を攻略するには、離婚はこの上ない材料だ。実際、『私たち離婚しました』『結婚と離婚の間』も高い話題性を記録し、シーズン2まで製作された。一方で、放送当時も刺激性の問題は絶えず言及されてきた。離婚の理由を公開するにあたって、夫婦間の溝が露骨に強調されたためだ。
このような状況で、単に離婚を悩むだけでなく、まるで現実のように離婚手続きを踏む過程をメディアに露出するのは、むしろ刺激的な内容を浮き彫りにするためではないかという指摘が出ている。
すでに新年が明けると同時に、韓国芸能界では多くのスター夫婦の離婚関連ニュースが報じられている。女優のファン・ジョンウムを筆頭に、歌手のベン、ソ・イニョン、俳優のホ・ドンウォン、イ・ボムス-イ・ユンジン夫妻、タレントのソ・ユリ、DAYBREAKのイ・ウォンソクと、枚挙に暇がない。
このように、すでに芸能界で刺激的なイシューが絶えず押し寄せてくる状況に仮想離婚バラエティが加わることは、世間の疲労度だけが高まる結果になるという憂慮が提起されている。
「2024 JTBC芸能記者懇談会」でイム・ジョンアバラエティ製作本部長は、「最近は動画配信サービス、ユーチューブなどプラットフォームが多様化し、生存のための刺激性を追求している。ドーパミンが出るようなものは楽しいが、その後の虚無感と疲労感も生じた」として、「すべての世代が楽しめる新たな家族バラエティを作る」と抱負を明らかにしていた。しかし、離婚というテーマで「刺激性」「疲労度」のみを追い求めているのが現状だ。
この言葉通り、刺激よりは真正性を追い求めながら、「多様な世代と家族、友人などが食卓で一緒に楽しめる」バラエティを作り出すことができるのかに注目が集まっている。
(記事提供=OSEN)
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