最近、芸能事務所を立ち上げたA代表は、とんでもないことを経験した。
有名ガールズグループのメンバーを迎え入れるために、そのメンバーの母親に会ったのだが、彼女はA代表に「契約金はもちろん、新しい会社の持分も10%くれ」と堂々と要求したのだ。
そのメンバーは優れたビジュアルとバラエティ能力まで兼ね備えていたが、資本金なしで会社の持分を要求するほどの地位ではなかった。最終的にA代表は、そのメンバーの移籍計画を撤回した。
K-POP第1世代の有名ボーイズグループのマネジメントを引き受け、海千山千を経験したA代表は、「芸能界生活20年の間に、あの母親のような親は初めて見た」とし、「最近の“FIFTY FIFTY事態”や“FANTASY BOYSユ・ジュンウォン事態”を見ると、他人事とは思えない」と話した。
近年、K-POP界に“ヘリコプターママ”が増えている。ヘリコプターママとは、着陸前のヘリコプターが噴き出す風が強いように、激しい風を巻き起こしながら子供の周りでグルグル回る母親を皮肉った新造語だ。日本でいう「モンスターペアレンツ」に近いニュアンスだろう。
以前までは子供の学業成就のためになりふり構わない保護者を意味したが、K-POP歌手が羨望の職業となり、歌手になるために幼い頃から練習生生活を過ごす子が増え、K-POP界にもヘリコプターママが増えたという。
芸能制作者らは、グループ生活をするアイドルメンバーの両親のうち、「1人、ときに2人がヘリコプターママだ」と口をそろえた。
K-POPアイドルグループの特性上、合宿および団体活動が必須だが、一部のヘリコプターママが「私の子供のおかげでグループが人気を得た」と主張して無理な要求をしたり、「会社が私の子供だけ世話してくれない」などとクレームして違反行為をしたりするケースが、しばしば発生するということだ。
ひどい場合には所属事務所と対立し、子供をチームから脱退させてグループに亀裂を生じさせたりする場合もある。
去る8月22日、デビュー前にグループから除名されたFANTASY BOYSのユ・ジュンウォンの場合、このグループを輩出したオーディション番組『少年ファンタジー』の制作会社PHUNKYスタジオや所属事務所POCKETDOLスタジオと、収益分配料率をめぐって意見が分かれたと伝えられた。
POCKETDOL側は「ユ・ジュンウォンの母親がオーディション番組で1位だったという理由で、6対4の収益配分を要求した」とし、会社側とユ・ジュンウォンの母親と交わした携帯電話メッセージを公開した。そのメッセージでユ・ジュンウォンの母親は「コンサート、放送だけでなく音源、アルバムグッズなど、すべての精算でジュンウォンが6で会社が4です。間違って伝わったのでしょうか?そうでなければ契約できないと思います」と書いた。
一方でユ・ジュンウォン側は、「所属事務所が高額の固定費を甘受するよう要請した」と主張。それに関してPOCKETDOL側は、「固定費用はまず会社が半分負担し、残りの半分もFANTASY BOYSの芸能活動による全体売上からメンバー別に1/12ずつ(12人組であるため)優先控除されるものであるため、もし芸能活動による売上が発生しなければ、全額をマネジメント会社が負担し、メンバーに負担させない」と反論した。
母親と所属事務所の葛藤によって、ユ・ジュンウォンは2度にわたってグループから無断離脱することになり、最終的にFANTASY BOYSはユ・ジュンウォンを除いた11人組として9月21日に正式デビューする計画だ。
これに対してユ・ジュンウォンの弁護人側は、とあるメディアとのインタビューで「(所属事務所が)一部のメッセージだけを主張の根拠として使っている」とし、「すでに所属事務所との信頼が崩れた状態で活動参加を中断したため、“無断離脱”ではなく、“一時的な協力の中断”と見なければならない」という意見を出した。
今現在、K-POP界を超えて韓国社会を騒がせているガールズグループ・FIFTY FIFTYの議論も、対外的には明らかになっていないが、“親の介入”が大きな影響を与えたとの見方が支配的だ。
メンバーの家族名で「FIFTY FIFTY」の商標権を登録した事実が外部に知らされ、その見方に説得力を加わっている。
とある芸能関係者は、「過去に東方神起のメンバーが所属事務所SMエンターテインメントと紛争したときも、メンバーの両親が子供たちを前面に押し出して事業しようとする欲望が浮き彫りになった。だが、東方神起のメンバーたちが絶頂の人気を享受していたのとは違い、最近はデビューしたてのグループまで親たちが乗り出している」と指摘した。
そして「幼い子供の未来を心配する気持ちはよくわかるが、過度な関心は“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”だ。ユ・ジュンウォンのように、デビューの機会を逃すこともありうる。グループが定着するまで、会社を信じて自重しなければならない」と話した。
■すでに信頼関係は崩壊…FIFTY FIFTY、メンバーが所属事務所を相手に裁判進行中
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