韓国で開催中の「第25回世界スカウトジャンボリー」では、連日のようにトラブルが多発している。熱中症者多発、食品管理問題など、多くの問題が叫ばれているなか、新たにコンサートイベントが“トラブルリスト”に加わった。
【関連】「スカウトジャンボリー」で商品価格がぼったくりと話題
パク・ボギュン文化体育観光部長官は6日、ジャンボリープレスセンターで記者会見を開き、「収容人員と移動条件などを総合した結果、退役式の11日に全州ワールドカップ競技場でコンサートを開くことにした」と明かした。
しかし、電車で1時間ほどの全州総合競技場では、11日からの3日間にわたって大規模野外音楽フェス「2023全州アルティメットミュージックフェスティバル」(以下、JUMF)が予定されている。そのためJUMFは、わずか一週間後にイベント開催を控えた状況で、ジャンボリーK-POPコンサートの日程、場所変更で困難に直面している。
今回の件について、「JUMF」を主催する全州MBCのイ・テドン局長は、自身の個人SNSで「ジャンボリー閉営式とK-POPコンサートが11日の金曜日、全州ワールドカップ競技場に決定された。怒りがこみ上げてきた。ただ、同じ日に同じ都市でフェスティバルを準備してきたからではない。JUMFは、今年のセマングムジャンボリーに合わせて開催日を延期して準備した」と長文を投稿した。
イ局長は、すでにかなり前から交渉していた「JUMF」の出演者を、ジャンボリーK-POPコンサートが引っ張り出そうとしているとも主張。「今日(6日)午後、ジャンボリーを主催する放送局から連絡が来た。金曜のJUMFのヘッドライナーを同日、全州(チョンジュ)で1時間前に開かれるジャンボリーK-POPコンサートに出演させようと思うのでご了承くださいと。あまりにも当惑し、言葉が詰まった」と暴露。
続いて「すでに、かなり前にフェスティバルの金曜日のヘッドライナーとして発表していたアーティストだった。閉営式と同じ日に近い場所にいるので、オファーが簡単だと思ったのか。フェスティバル成功のため、半年以上準備してきた私はバカだったのか。彼らが考える地域のフェスティバルは、単に自分たちの便宜によってこれほど無視していいのか。その1グループのステージを見るため、遠い道を行き来して少なくない費用と経費を負担する観客の権利を、無料のショーで無視しても良いのか」と吐露した。
それとともに「約束されたフェスティバルと、主管放送会社の無理な要請の間に挟まれたアーティストに何の過ちがあるのか」とし、「予想できなかった事故と危機は、どの状況でも存在しうる。しかし、その対応が断片的で緻密でない時は、事故は事態になり、危機は惨事に変わりかねない」と憂慮を示した。
また、イ局長はジャンボリー参加者5000人を「JUMF」に招待したが、ジャンボリー組委員会から徹底的に無視されたとも主張している。「世界の青少年との競争に疲弊した我が国の子供たちの、少しでも癒しになろうと多くの費用をかけ、金曜日にはK-POPを中心に組んだ」とし、「しかし、関係機関からは、ジャンボリー期間中に参加者を外部に送り出すことが“不法”だという妄言も聞かされた。開会式以降は、開催地の構成員として顔を上げることができないほどの恥ずかしさと罪悪感から抜け出せずにいる状況だ」と話した。
先立ってパク長官は「全州ワールドカップ競技場収容人員は4万2000人であり、観客席の88%に屋根が設置されている」とし、「セマングムからおよそ50分程度で移動でき、安全管理経験とノウハウが蓄積されている」として、全州ワールドカップ競技場をジャンボリーK-POPコンサートの場所に選定した理由を明らかにしていた。
だが、これに対してもイ局長は「普段から一時間を越える距離のセマングムが、この日は何時間かかるか誰も断言できない」と憂慮を示した。また「子供たちはどうなってもいいのか。K-POPを人質に、荒涼とした干拓地に最後まで子供たちを縛り、華麗なショーで成功を装うことで、最後まで責任を免れようとする権力と組織の薄っぺらな小細工にしか見えない」と非難を浴びせた。
JUMFの金曜のヘッドライナーはOH MY GIRL、DREAMCATCHERなどだ。OH MY GIRLの所属事務所WMエンターテインメントは、「ジャンボリー組織委員会から連絡を受けたことはなく、予定通りJUMFに出演する計画」と明らかにした。
全体公開だったイ局長の文は現在、限定公開に変わっている。イ局長は8月7日、本紙『スポーツソウル』との通話で「ジャンボリー組織委員会から出演者が重ならないようにするという返事を受けた」と明かした。
しかし、現代において、すでに予定されているイベントの出演者を政府主導のイベントに立たせることを了解してほしいという発想に、ネット民たちは怒りを表わしている。
なお、世界スカウトジャンボリーは4年ごとに開催される世界スカウト機構の合同キャンプ大会で、今回は158カ国から約4万3000人もの14~17歳の青少年が参加している。場所は韓国の南西部に位置する全羅北道・扶安郡(プアングン)のセマングム干拓地で、8月1日から12日まで開催されているが、初日から猛暑による熱中症患者が多数発生。同イベントは12日まで予定されているが、被害が続くと、アメリカ、イギリス、シンガポールなどから訪れた参加者は早期に引き上げている。
一方、ジャンボリーK-POPコンサートの出演アーティストは協議中だという。当初のラインナップには、IVE、ZEROBASEONE、NMIXX、STAYC、P1Harmony、&TEAM、VERIVERY、イ・チェヨン、NATURE、Xikersといった人気グループが名を連ねていたが、現時点では断言できない状況だ。
前へ
次へ