“中小の奇跡”と称されるK-POPグループに亀裂が生じている。
ガールズグループFIFTY FIFTYの所属事務所のATTRAKTは6月27日、ソウル江南（カンナム）警察に株式会社「The Givers」のアン・ソンイル代表を含む数名を対象に告訴状を提出した。
The GiversはATTRAKTと業務契約を締結し、プロジェクト管理などを担当しており、FIFTY FIFTYの総括プロデューサーであるアン・ソンイル氏が代表を務めている会社だ。アン・ソンイル代表はSIAHN（シアン）という名でプロデューサーとしての顔も持つ人物で、FIFTY FIFTYのブレイクの“隠れた功労者”として知られている。
FIFTY FIFTYメンバーも“SIAHN”について何度も言及してきた。今年4月13日、デビュー7カ月目にして米ビルボード「ホット100」に入ったことで開いた記者懇談会でセナは、「SIAHNプロデューサーが戦略的に企画し、悩んでいる部分について私たちにもたくさん共有して下さる」とし、「次のアルバムもFIFTY FIFTYだけの色が込められた完成度の高い音楽をお聞かせできるよう、より一層熱心に努力する」と話していた。
そのほかにも、シオとキナもSIAHNから「ホット100」チャートインを初めて聞いたと伝えるなど、両者が親密な関係であることを表わしたりもした。
FIFTY FIFTYを巡る問題は最近、“外部勢力”がメンバーの強奪を試みたとATTRAKTが主張したことで表面化したものだ。
ATTRAKTは6月23日、「所属アーティストに接近し、当社との専属契約を違反するよう誘引する外部勢力がある」とし、FIFTY FIFTYの海外流通会社であるワーナーミュージック・コリアに釈明を要求。これに対してワーナーミュージック・コリアは「事実無根」と反論した。
しかし、ATTRAKTがThe Civersとアン・ソンイル代表などを告訴したことで、問題の発生源が“外部勢力”というよりは“内部勢力”だった可能性が高まっている。一部メンバーの健康問題もあるが、FIFTY FIFTYは輝かしい成果を築いてきたにもかかわらず、特別な活動をしないことで、業界では事務所内部の問題ではないかという声も出ている。
そんななかでThe Civersを名指ししたことにより、泥仕合が本格化。ATTRAKTは、The Civersが業務を引継ぐ過程で業務を遅延し、会社のメールアカウントを削除するなど、これまでのプロジェクトに関する資料を削除したと伝えている。このような行為が、業務妨害や電子記録などの損壊、詐欺および業務上背任行為だと主張したのだ。
また、The Civersが海外の作曲家から『Cupid』の音源を購入する過程で、ATTRAKTに著作権購買に関する情報を提供することもなく、本人（アン・ソンイル代表）および本人の会社が著作権をこっそり買ったとも主張。これらについてATTRAKTは「このほかにも、深刻と思われる証拠があり、追加の告訴が増える可能性もある」と強調した。
2社が揉めているなか、27日午後にはFIFTY FIFTY公式ファンサイトが閉鎖されるハプニングも発生した。ATTRAKTは「これも外部勢力によるアカウントの無断奪取であり、復旧も完了した」と明らかにしたが、ファンからするといまいち腑に落ちず、依然として混乱している状況だ。
これまで一連のトラブルを列挙したが、結局のところ最も被害を受けているのはFIFTY FIFTYメンバーたちだろう。彼女たちは今年2月に発表した『Cupid』がビルボードのメインシングルチャート「ホット100」に13週間も名を連ねるなど、英米圏で頭角を現したことでブレイク。BLACKPINKやNewJeansといった大手所属グループの記録を毎週のように塗り替えているが、目覚ましい成果とは裏腹に、彼女たちの活動は依然として足踏み状態だ。
アイドルグループの制作・運営には数億から数十億円の投資が必要とされている昨今、HYBE、SM、YGといった大手ではなく、できたばかりの中小事務所からFIFTY FIFTYのような事例が出てくることは、まさに“奇跡”だといえる。ある中小事務所関係者は「FIFTY FIFTYのケースで希望を抱いた会社が多かったが、一連の事態で残念さが大きい」と話した。
また、ある音楽業界の広報関係者は「楽曲の世界的ヒットに比べ、まだ新人なのでグループやメンバー個人の認知度が足りない状況だ。このような勢いを受け継ぎ、活発な番組出演、広報活動などで後押しされなければならないが、活動空白期が長いことが残念だ。現在、最ももどかしいのは当事者たちだろう」と述べた。
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