悪夢となった韓国ソウル雑踏事故、梨泰院に住む韓国歌手の悲痛な目撃談「街全体が無気力で沈んだ」

2022年11月02日 話題

さらに「歩いていると、私のそばを消防車や救急車がたくさん通り過ぎた。大きなイベントをするから、そのなかで大小の事件・事故が起きたのかもしれない。私はそれだけを考えたが、前の往復4車線の道路にすでに多くの消防車がある様子を見て、軽いものではないと思った。その時が23時40分だった。2時までは待機しなければならなかったので、人々に話を聞いたが、死亡事故が出たようだと言っていた。建物の屋上に上がってみると、ホテルの前で心肺蘇生法をしている姿が見えた。その横には毛布で覆った遺体が路上に広がっているのを見た」と、当時の状況を伝えた。

(画像=KBSラジオ)『チュ・ジヌライブ』

「圧死事故の通報が(23時)15分だったので、(23時)40分であれば道路は統制されていたのか、警察は何をしていたのか」と聞かれると、キムCは「私も梨泰院の状況を知っているほうだが、警察の方々が制服を着ると蛍光色なのでよく見えるではないか。しかし警察を探すのが簡単なことではなかった。私が見たときは、数分間はいなかったようだ。救急要員、消防士がほとんどで、警察は目に入らなかった。それで私もどうして警察がいないのかと思った」と話した。

彼は「道路の統制自体がほとんどできていなかった。私は屋上にいて、その近くの地理をよく知っているので、この状況であれば緑莎坪(ノクサピョン)のほうを塞いで、入ってきた車は片方の車線に外してやったほうがいいと思ったが、それ自体がほとんどできていなかった。混乱した状況だった」と説明した。

キムCは梨泰院の近くに10年も住んでいる。彼は「実は新型コロナのせいで数年間イベントが開かれなかったこと以外は、梨泰院はいつもハロウィンと梨泰院文化祭が一番大きなイベントで人が多かった。そうでなくても週末になると、人々があまりにも多く集まる。周囲の人たちは“ハロウィンのときは梨泰院に行くのは違う”というほど、梨泰院が混雑していることを知っている」と強調した。

続いて「2017年頃には歩道に警察のバリケードテープが張られていた。それでおもしろくなかったと言われたことがあるが、“だから誰も怪我をしなかった”と話した記憶がある。でも今回はそんなものが見られなかった。バリケードテープや交通規制がなかった。ハロウィンの2週間前に梨泰院文化祭があったときも、本当に人が多かった。その時は交通統制が行われ、人々が通行するのも少し楽だったし、何の事件・事故も聞くことがなかった」と違いを指摘した。

また「主催側がいなかったからではないか」という主張に対しては、「大小のイベントによって龍山区側に経済的な恩恵があるではないか。多くの人が訪問してくれるのだから。龍山区の住民が選出した方がそのような権限を与えられているのだから、その権限に見合う責任も果たさなければならないのではないかと思う」と皮肉った。

(写真提供=OSEN)キムC

「今回の事故の原因は何だと思うか」と聞かれると、キムCは「事前に準備されたものがあれば事故はなかったと思う。今回事故が起きたのは、準備されるべきことが準備されておらず起きたと思う」と率直な考えを明らかにした。それと共に「実際に目の前で目撃することになり、その状況を見守ることしかできない無力感が思ったより大きいようだ。私の周辺もそうだし、街全体が無気力で完全に沈んでいるような気分だ」と、市民のトラウマについて伝えた。

そうかと思えば、キムCは「屋上にいる時におかしいと感じたのが、私の記憶では24時を過ぎたときだが、約20人の警察官が緑莎坪方面からホテルの向かい側のほうに2列でずっと歩いて向かっていたことだ。服装が(警察の着る)蛍光色に見えた。2列で歩いてくるのを見て、“状況を認識できていないんだな”と感じた。もし、正確な状況を聞いていたら、多分走ってきたはずだ。状況を認識できずにいるんだなと思った」と、問題点を指摘したりもした。

最後に彼は、「私も責任を感じなければならないという思いしかない。とても若い青年たちが慌ただしく去っていったので、この事故を通じて何かひとつ学ぶことがあるという話をするのであれば、“(建物の)中から漏れる音は仕方ないとしても、外部に音響施設を設置して音を出すのはどうか”ということだ。もし人々が動けるときに助けを求める声が伝わっていたら、きっと皆が一緒に乗り出して助けただろうし、もう少し犠牲が減ったのではないかという気がする。この問題は、一度は考えてみなければならない」と強調した。

なお梨泰院惨事による死亡者156人のうち、68人の出棺が終わり、負傷者157人のうち121人が帰宅、36人が病院で入院治療を受けていることがわかった。韓国政府は11月5日までを国家哀悼期間に指定し、ソウルの25の全自治区で死者合同焼香所が運営されている。

(記事提供=OSEN)

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