女優チョン・ミドが39歳という曖昧さの末に余裕を持ち、40代への期待を抱かせた。
【写真】『39歳』ソン・イェジンやチョン・ミドの“仲良し3ショット”
最近、最終回を終えたNetflixでも配信されたドラマ『39歳』（JTBC）は、チョン・ミドが演じた「チョン・チャニョン」という人物を中心に物語が展開された。チョン・チャニョンが余命宣告されるという設定と、ドラマ序盤に誰かが死ぬという事実が伝えられて物語が始まり、終わりに向かって近づくほど高い没入感を与えた。
複雑な異性関係が議論を呼んだりもしたが、視聴者を没頭させたチョン・チャニョンというキャラクターをチョン・ミドはどうやって作ったのだろうか。
涙のシーンが多い『39歳』で、お茶の間を涙の海にした場面を挙げるとすれば、最終話のレストランでのシーンを外すことはできない。
先にチョン・チャニョンは、チャ・ミジョ（演者ソン・イェジン）に自分の死を知らせたい人々を整理した“訃報リスト”を渡していた。チャ・ミジョはチョン・チャニョンのリストに載っている人々をレストランに集め、偶然を装って、チョン・チャニョンが最後の挨拶を直接できる場を設けた。
視聴者の心に深い響きを与えた同シーンの主人公であるチョン・チャニョンを演じたチョン・ミドは、当時の現場の雰囲気について「その日が私の最後の撮影日だった。現場に私の母親役だった先輩も来られたのだが、そのシーンを全部撮ってから感情の整理ができなくて、先輩を捕まえて泣いた記憶がある。当時、友達役をしていた俳優たちも私と目を合わせながら本当に泣いている方もいて、リアルなリアクションをしてくれたので、まるで私が演劇をしていたときの仲間たちに会ったような気持ちになり、とても未熟な感じを与える演技ができた」と明かした。
死という結末を知って始まる物語であるだけに、次第に迫る死を演じたチョン・ミドは、ある瞬間にチョン・チャニョンと同化した。演技をしながらとても妙な感情を抱いたという彼女は、「ある瞬間からは自分を自分と感じられず、（自分で）チャニョンを見ていてとても悲しくなった。第12話での自分の演技を見て、たくさん泣いたりもした。“自分の演技を見て自分で泣いたの？”と質問されて、“知らなかった場面もあったからと”と言ってごまかしたが、本当に悲しい気持ちだった」と、終映後もまだドラマから離れられない心境を伝えた。
余命宣告されたという点以外のチョン・チャニョンの設定で、演技者の夢をあきらめて演技指導者になったという部分は、俳優たちにとって身近な話だ。演技者であるチョン・ミドもその設定がとても理解できるとしながら、「周囲にそんな友人や同僚がとても多く、そうやってきた先輩も本当にたくさん見てきた。そうやって長い間、演技の先生をしながら、後で機会を得てスポットライトを浴びた先輩も見てきたので、とても身近な話だった」と、演じた役に共感する姿を見せた。
チョン・チャニョンは演技の先生でもあり、演技者でもあった。チョン・ミドは「チャニョンが劇中の設定で凄く几帳面にノートを取る性格となっていたが、まだ俳優としてデビューしたことはないが、とても情熱があることを（脚本家が）見せたかったのではないか」とし、「私もたくさん筆記をするスタイルだ。もう一度開くことはなくても、台本を読みながら浮かんだ考えは、すべて台本に書かなければ気が済まないスタイルで、そんなところに似た面があったようだ」と答えた。続いて、劇中で演技者としてまた演技をするということが、見るのもぎこちなく、少し難しかったと付け加えた。
“39歳”という年齢は、「30代」というには多く、「40代」というのはおかしい、どこにも属せないような曖昧な年齢だ。ただ「9」が与える不安定な曖昧さが過ぎれば、次の段階に進む足場にもなってくれる。10年以上、演劇をしてきたチョン・ミドは、数え年39歳でドラマ『賢い医師生活』を始め、ドラマというステージに足を踏み入れて新しい転換点を迎えた。
誰かにはチョン・チャニョンとして、また他の誰かには『賢い医師生活』のチェ・ソンファとして記憶されるチョン・ミドは、40代に入り、演技だけでなく、自らについてあるがままに受け入れ、自分自身と向き合うことができる余裕を得ることになった。
「人としては人間的で、良い人になりたい。人間的という部分には、足りなくて弱い面も含まれていると思う。良い面だけを覚えていたくはない。足りないところも認め、ある部分は完璧なのにある部分は呆然としている、距離感を感じさせない人になりたい」
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