出演俳優のスキャンダルやキャスティング問題で放送前から議論になった韓国ドラマ2作品の苦悩

2021年11月24日 テレビ

「始まってもいないが、すでにたくさん見たような感じ」「ドラマの内容というより、芸能人の名前や事件を消すことができないのは仕方ない」

「内容さえ良ければ、事件・事故はすぐに忘れられるのでは?」「多くの制作スタッフの努力が水泡に帰すことがなければいいが」

公開される前から困難を経験した韓国ドラマが、先入観に苦しんでいる。雑音を振り払って本格的な広報活動が始まったが、すでに何度も続いた論議によって、それらの作品に注がれる視線は、新鮮ではないとでもいえばいいだろうか。

IHQの新しいドラマ『スポンサー』(原題)と、KBS2の新ドラマ『学校2021』(原題)が本格的な放送を控えて広報に乗り出した。主演俳優たちのキャラクター説明とともに現場スチールなどを公開し、本来の広報に忠実であろうとする努力が垣間見える。一方で、一部の関係者や視聴者からは、新たな内容が公開されたにもかかわらず、以前に経験したような錯覚を呼び起こすとの声が上がっている。

最近、最も激しい議論の主人公となったのは、IHQが野心的に出した新作『スポンサー』だ。問題は、主演俳優イ・ジフンに突然のパワハラ疑惑が浮上し、ドラマの内容ではなく、俳優個人の言動が強調されすぎたという点だ。

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イ・ジフンだけでなく、同ドラマ制作陣のカカオトークのトーク内容が公開されるなど、相反した主張が広がり、その事件が報じられるたびにドラマのタイトルが目に入った。

(画像提供=iHQ)『スポンサー』

事件は一段落した。制作陣およびイ・ジフンも誤解があったと詳細に説明したが、一連の騒動を見つめる視線が綺麗ではないというのが関係者たちの言葉だ。

とあるドラマ関係者は「いろいろな事件が重なり、本質を乱した。積極的な解明がドラマをすっきりと始めることができるきっかけになるかどうかはわからないが、すでに“俳優とスタッフの間に葛藤があった作品”というイメージがついたことは誰も否定できない」と明かした。

反対の意見もある。スキャンダルによって、主演俳優とドラマに対する認知度が上がったという意見だ。また別の関係者は、「最近はテレビの他にもOTTなど、多様なプラットフォームの時代になった。数十編余りのドラマやショートドラマが公開されるため、始まることさえも知られずに終わってしまう作品も多い。ポジティブに考えれば『スポンサー』は、IHQの新作、そして主演俳優イ・ジフンというたしかな認知度を得た」と話した。

様々な意見があるなか、『スポンサー』は11月29日の初放送を控え、本格的にドラマを知らせるために奮闘している。現在はイ・ジフンを中心に、ハン・チェヨン、チ・イス、ク・ジャソンなど出演陣のスチール写真を公開しながら、和気あいあいとした撮影現場の雰囲気を知らせたりもしている。

ある関係者は「イ・ジフンだけでなく、多くの俳優とスタッフが参加した作品だ。彼らの努力が無駄にならないように、すべて過去の時間を忘れて一生懸命に広報している」とし、すべての事態が一段落したことを知らせた。

『学校2021』は、キャスティングの難航で論争を経験したドラマだ。KBSの「学校」シリーズは、これまで数多くの青春スターを輩出したドラマとして有名。だからこそ多くの新人俳優、そして歌手と俳優の兼業を夢見るアイドルスターたちにとっては、絶対に出演したい作品といえる。

(画像提供=KBS)『学校2021』

ドラマの始まりを知らせた当時、多くの新鋭スターたちがオーディションを受けるために努力を傾け、キャスティングされていない状況であっても、名前が取り上げられただけで喜ぶ雰囲気があったことは事実だ。また最近の韓流コンテンツの場合、海外からの関心も大きくなるため、熱い競争を証明するかのようにキャスティングに関する論議が続き、騒動となりながら11月24日の初放送を知らせた。

これまで、同ドラマのキャスティングに名前を上げた俳優たちだけでも、議論になるには十分だった。Netflixオリジナル『オクジャ』のアン・ソヒョン、『ペントハウス』で頂点に立ったキム・ヨンデまで主演俳優として名前が上がったが、いずれも不発となった。その席はWEiのキム・ヨハンや、『賢い医師生活』で顔を知らせたチョ・イヒョンらが埋めることになった。

泣き面に蜂で、『学校2021』は制作紛争まで経験しなければならなかった。これに対して『学校2021』側は、「制作会社SRピクチャーズは放送禁止ではなく、制作禁止仮処分の申請を出した」とし、「もともとキングスランドとSRピクチャーズは『オー私の男たち』(仮題)で契約し、その後に『学校2020』に変えて制作を進めたが、それさえも編成が不発だった。キングスランドとレモンレインが制作する『学校2021』は新しい内容だ。放送には支障がない」と明らかにした。キム・ヨハンと補助出演者が新型コロナに感染し、初回放送が延期されるアクシデントもあった。

雑音の原因を俳優だけに向けることはできない。ただ、あまりに多くのスターの名前が取り上げられたため、まだ始まってもいないドラマであるにもかかわらず、どこか見飽きた雰囲気すら漂う。それでも現場の雰囲気は、これまで以上に良いというのが関係者たちの言葉だ。

とあるドラマ関係者は「これまでの“学校”シリーズのなかで、最も多くの問題点を見せたのが今回のシリーズであることは否定できない」としながらも、「だからといって雰囲気が良くないという話ではない。先入観があるなかでも、また別の新しい内容を描いているし、俳優たちも最善を尽くして準備をしたので放送されることだけを待っている」と耳打ちした。

いずれにしても、すべての準備は終わった。ふたを開けてみるまでわからないが、今は先入観を捨てて、ドラマ自体で見つめる温かい視線が必要なときだ。

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