年齢を重ねるごとに増す円熟味ある演技力が、俳優チ・ジニにはある。
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去る6月12日に放送終了したJTBCドラマ『アンダーカバー』(原題)。同名のイギリスドラマを原作とする同作品は、自分の正体を隠して生きてきた男がとある事件に巻き込まれ、家族を守るため孤軍奮闘する物語を描いた作品だ。
チ・ジニは今作、ごく普通の夫であり父親のハン・ジョンヒョンと、引退したエリート要員イ・ソッキュを交互に演じ、高い評価を得た。作品内ではアクションシーンにも挑戦し、演技の幅を一層広げたチ・ジニは、演技中に負った指のケガも気にしない様子で「アクションシーンが増えることを願う」と打ち明けた。
放送終了後、チ・ジニは「もっとたくさんのアクションシーンを見せたかったが家族団らんのシーンが多く、思ったよりアクションが少なかったのが惜しい」と作品を振り返ると、「アクションといっても過度なものではなく、ジークンドーのような実戦的な武術に近いものが多かったので、武術チームに教わればすぐに真似できた」と自信満々に語った。
一番記憶に残ったアクションシーンには、ワゴン車内でのシーンを挙げた。「ハン・ジョンヒョンが、かつて要員イ・ソッキュだった面影を見せる場面だ。狭い空間で華麗なアクションを繰り広げた」とチ・ジニは振り返る。
毎回2つの役を行き来して視聴者の緊張感を高めた作品の中心には、チ・ジニやキム・ヒョンジュをはじめとする“信じて見る俳優”の活躍があった。
チ・ジニは嵐のように変化する人物たちの感情の中で、家族と信念を守るために凄まじい死闘を迫力溢れるように演じ、ドラマの見どころとなった。特に、正義感あふれる世の中を夢見る妻チェ・ヨンス(演者キム・ヒョンジュ)が前に踏み出せるように、いかなる危険も甘受する彼の役柄が視聴者に感動を与えた。
また、チ・ジニは『波乱万丈 Missキム10億作り』(2004年)、『愛人がいます』(2015年)らSBSドラマ2作品に続き、3回目の共演を果たしたキム・ヒョンジュへの強い信頼感を見せた。
チ・ジニは「いつもキム・ヒョンジュさんに対する信頼がある。この気持ちは自然に生まれたわけではない。これまで2つの作品で共演し、一緒に撮影するなかで信頼感を積み上げた」とし、「相手をとても良く考え、理解してくれる女優だ。難しい場面でも“チェ・ヨンス”というキャラクターを格好良く演じたのを見て、素晴らしいと思った」と、キム・ヒョンジュに称賛の言葉を送った。
続けて、期待される4回目の共演について問われると、「これまで3回も共演したことが奇跡だったので、もう4回目はないのではないか(笑)。時代劇の大妃役や婚姻関係でない限り、また恋愛もので共演することは難しいと思う」と笑顔を見せた。
日本でも大ヒットした名作ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』(2003年)でその名を広めたチ・ジニは、『春の日』(2005年)や『結婚できない男』(2009年)、『トンイ』(2010年)、『温かい一言』(2013年)、『最後から二番目の恋』(2016年)、『サバイバー:60日間の大統領』(2019年)など多くの作品に出演し、多彩な役柄をこなしてきた。
そのほかにも、『愛人がいます』や『ミスティ ~愛の真実~』(2018年)などを通じては、若くない年齢にもかかわらず“ラブコメ職人”とも呼ばれた。
今年で50歳を迎え、役柄が限られるどころかより演技の幅を広げたチ・ジニ。「本当に色んな職業の役を演じた。大統領もやったし、王もやった。特に医者の役を演じたときは、母親が“ついに息子が医者をやる”と一番嬉しがっていた(笑)」語る彼は、「次は軍人を演じてみたい」と明かす。
そして、「素材や職業が変わっただけで、これまでほとんどラブストーリーに出演した。(役柄が)限られていると感じるかもしれないが、多くの中年俳優がラブストーリーをやりたがっているのに、これだけの作品を演じられたことは私にとって幸運なことだ」と付け加えた。
チ・ジニは休む暇なく走り続ける。今度は秘密を秘めた“国民アンカー”として戻ってくる。
現在、tvNの新作ドラマ『ザ・ロード:1の悲劇』(原題)を撮影中だというチ・ジニは、「過去の秘密を秘めた“アンカー”だ。その秘密が誰かによって暴かれようとして悲劇が起きる」と物語の一端を明かすと、「少しドジな役柄だ。自分自身期待している」と、これまでとは違う“チ・ジニ”を予告した。
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