『梨泰院クラス』などの人気ドラマ作品で日本でもブレイク中の俳優パク・ソジュンが、映画『ディヴァイン・フューリー/使者』(キム・ジュファン監督)でも痛快な演技を見せている。
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“オカルトヒーローもの”という新ジャンルで、韓国映画界に爪痕を残した『ディヴァイン・フューリー/使者』。日本でも8月14日から公開がスタートし、早くも映画ファンの間で「さすがパク・ソジュン」「『梨泰院クラス』では見られなかった魅力」といった絶賛の声が上がっている状況だ。
ホラー&アクションと2つの要素が掛け合わさった同作。パク・ソジュンは幼い頃に父を亡くして神への信仰を失った総合格闘技の若き世界チャンピオン、ヨンフ役を演じる。
ある日、右手に見覚えのない傷ができていることに気づいたヨンフは、傷について調べるうちに何かに導かれるかのようにエクソシストのアン神父(演者アン・ソンギ)と出会う。これをきっかけに、世界を混乱に陥れる悪魔と激しい戦いを繰り広げることになるのだ。
『ディヴァイン・フューリー/使者』は、パク・ソジュンにとっても新鮮な気持ちが芽生える作品だったようだ。
劇中でヨンフを演じた感想について、パク・ソジュンは「ずっとヨンフの成長過程を演じていたけど、自分自身も成長するような映画だったのではないかと思う」と振り返っている。
パク・ソジュンはこれまで多彩なドラマや映画作品に出演したが、その活躍が目立ったのはラブコメドラマだった。ドラマ『サム、マイウェイ ~恋の一発逆転!』(2017年)や『キム秘書はいったい、なぜ?』(2018年)で見せた魅力的な姿は特に有名だろう。
イメージを一新するために選択したのが、『ディヴァイン・フューリー/使者』だったというわけだ。
パク・ソジュンは「僕といえばラブコメ、という印象があったようだ」と切り出し、こう続けた。
「ヨンフは真剣で強く、孤独で、いろんな姿が写しだされる役だと思った。新しいことを試し続けなければいけない、という強迫観念もあった。映画のジャンル的な要素にも魅力を感じた。いつもと少し異なる姿を、ファンにお見せできるのではないかという気持ちからこの作品を選んだ。新しい試みの大切さに気付ける、良い機会になったようだ」
成長を実感した理由については、「ドラマでは最初から最後まで物語を引っ張る役柄が多かったが、映画ではあまりなかった」と話している。
「主役として現場でもそうだし、人物を演技する点でもたくさん習うことがあった。アン・ソンギ先輩と呼吸を合わせたことは本当に勉強になった。僕もこのような先輩になりたい、という気持ちになった。どのように自分を管理したら好きな演技をずっと続けられるのか、そういった面でも成長の意味がある」
「好きな演技」という言葉から、パク・ソジュンの演技に対する愛情が感じられる。『ディヴァイン・フューリー/使者』は、そんな演技への愛情が一層膨らんだ作品となったようだ。
「僕は演技が嫌いではないが、常に新しい刺激があってこそ、新しい楽しみを感じることができると思っている。今回の映画は、そういう意味でも良い試みだと感じた」
“変化”は本人にとって活力になるかもしれないが、既存のファンが好む姿からかけ離れることはリスクになり得る。ときには、ファンが望むキャラクターを演じ続けたほうが有利な場合もあるだろう。
しかし、パク・ソジュンは「考えたこともない」という。
「ファンの気持ちが離れるとしても、変化を与えるターニングポイントは必要だ。ある程度は、世間が好む自分の姿がどんなものなのかわかっている。だから、ずっと似たようなキャラクターを演じれば結果はもっと良いかもしれないとも思う。
それでも、自分自身は少し面白くない気がした。まさに今が、そんな考えを整理して、成長する過程を生きているのだろ思う。『ディヴァイン・フューリー/使者』を選んだときなんかは、そんな気持ちが一層濃かった時期だ」
共演したアン・ソンギについての感謝も伝えている。
「本当にたくさん学べる現場にしてくださった。アン・ソンギ先輩は、いつも30分ほど早く現場に来ていた。僕は10分ほど早く行くスタイルなのだけど、常に先に来ていたようだ。
アン・ソンギ先輩がセリフを間違えるのを、一度も見たことがない。膨大な量のセリフをはじめて現場で披露するにも関わらず、間違えたことがない。想像もできないほど念入りに準備しているようだ」
また、現場での微笑ましいエピソードについても触れた。
「撮影の合間には、アン・ソンギ先輩の昔の出演作についても聞かせてもらった。デビュー作のモノクロ写真も見せていただいた。韓国映画の歴史を象徴する方なので、たくさんのことを見て、聞いて、感じた貴重な経験になった」
今やトップスターとして韓国にとどまらない人気を誇るパク・ソジュン。まだまだ日本のファンにとっては『梨泰院クラス』のイメージが強いかもしれないが、『ディヴァイン・フューリー/使者』で新たな魅力に触れて見るのもいいかもしれない。(つづく)
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