わずか28歳で突然この世を去った韓国気象キャスターの1周忌の日に“制度廃止”を発表する鬼畜さ 遺族は反発

2025年09月16日 ニュース

韓国の地上波放送局MBCがフリーランスの気象キャスター制度の廃止を発表したなかで、突然この世を去ったオ・ヨアンナさんの遺族側が反発した。

【写真】「変な臭い」オ・ヨアンナさん、“職場いじめ”の内容

MBCは9月15日、公式立場を通じて「オ・ヨアンナさんの1周忌を迎えた。MBCは故人の冥福を祈り、ご遺族に深い哀悼の意を表す」とし、「MBCはフリーランス気象キャスター制度を廃止し、『気象気候専門家』制度を導入して正規職として採用することにした」と明らかにした。

MBC、1周忌にあわせ制度廃止を発表

これに先立ち、オ・ヨアンナさんの母親は9月8日、ソウル麻浦(マポ)区のMBC新社屋前で放送・言論労組など44団体と共に記者会見を開き、MBC側に公開謝罪と再発防止策の準備などを求め、ハンガーストライキを始めていた。

オ・ヨアンナさんは2021年からMBCの気象キャスターとして活動したが、2023年9月15日に突然この世を去った。遺族によると、彼女は職場でのいじめを訴え、17通の手紙を残しており、その後、加害者と推定される人物の実名が拡散して波紋を呼んだ。

雇用労働部はMBCに対する特別労働監督を実施し、故人は労働基準法上の労働者には該当しないが、「いじめと見られる行為があった」と結論づけた。

オ・ヨアンナさんの母親
(写真提供=OSEN)オ・ヨアンナさんの母親

その後、MBCは「関係者への処分と共に組織文化全般を改善していく」とし、加害の主導者とされた気象キャスターA氏との契約を解除した。ただし、A氏以外に加害者と指摘された3人とは再契約を行い、反発を招いた。こうしたなか、遺族側はA氏に対して5億1000万ウォン(約5100万円)の損害賠償請求訴訟を提起し、裁判が進行中だ。

市民団体「エンディングクレジット」のチン・ジェヨン執行委員長は、記者会見で「7月30日に遺族がMBCのアン・ヒョンジュン社長と面会した。8月22日には遺族と『職場パワハラ119』、エンディングクレジットがMBC側と会合を持ち、公開謝罪、再発防止策、気象キャスターの正規職化、MBC内の非正規・フリーランス全数調査を要求した。しかしMBCはこれまで誠意ある解決の意思を見せていない」と批判した。

そして「二度とこうしたことが起きないよう、非正規職を量産し差別するシステムを改善する闘いに共に参加してほしい」と訴えた。

オ・ヨアンナさんの母親は、「ヨアンナを死に追いやった先輩たちとMBCの行動を思い出すと恐ろしい。厚かましく卑劣な姿に絶望した。若い女性の血を絞り、骨を削って放送を作っていることを知った。娘は本当に生きたかった。生きたい、働きたいと必死でもがき、どれほど生きようと努力したかわからない。私が辞めるように言っても、夢があるから最後までやりたいと答えた。それなのに責任を取る人は誰もいない。MBCは娘の死後に訃報さえ出さず、独自に行った真相調査の結果も公開していない」と憤った。

オ・ヨアンナさん
(写真=オ・ヨアンナさんInstagram)

彼女は「MBCと2度会い、要求案を伝えて解決を求めたが、誠意もなく解決の意思もない。自尊心を傷つけるような目で私を見た。MBCを許せない。一つの命は宇宙だ。それなのにMBCは何年働いてもフリーランスだから、非正規だからと虫けらのように扱う。闘いながら知った。苦しんでいたのは娘だけではなく、放送業界の多くの若者たちが同じように苦しんでいた。毎日が苦しく、娘に会いたい。どう生きればいいのかわからず途方に暮れている。1周忌の前に問題が解決し、MBCで二度とこのような悲劇が起きないよう共に闘ってほしい。私はヨアンナの無念を晴らし、胸を張れる母になりたい」と涙を流した。

こうしたなかでMBCは、オ・ヨアンナさんの1周忌に合わせてフリーランス気象キャスター制度の廃止を発表した。

続けて「新設される『気象気候専門家』は、既存の気象キャスターの役割に加え、取材、出演、コンテンツ制作も担い、専門的な気象・気候情報を視聴者に伝える役割を果たす」と説明し、「新制度による採用は年末から来年初めにかけて公開採用で行われる予定」とした。

さらに「応募資格は気象・気候・環境関連の専攻者や資格保持者、または関連業界5年以上の経験者であり、既存のフリーランス気象キャスターも応募可能だ。採用の公正性を担保するため、今後採用の日程や方式を公開する予定」とし、「民事訴訟の当事者間で同意が成立すれば、MBCは真相調査委員会の調査結果を公開する予定」と付け加えた。

このMBCの発表に対し、オ・ヨアンナさんの遺族をはじめ、エンディングクレジット、職場パワハラ119は、共同声明を出して反発した。彼らは「MBCの発表はオ・ヨアンナキャスターの労働者性をまったく認めないという意味だ。何より現在働いている気象キャスターが公開採用の競争に落ちれば解雇される仕組みだ」とし、「母親は第2のオ・ヨアンナを防ぐために気象キャスターの正規職化を求めて断食したのに、その結果は同僚をMBCから追い出すことになった」と批判した。

9月8日に行われた記者会見の様子
(写真提供=OSEN)9月8日に行われた記者会見の様子

さらに「今日、アン・ヒョンジュンMBC社長とMBC経営陣が抗議現場を訪れた際、一言も口にせず、市民団体が追悼祭を行う時間に合わせて報道資料を出した。これは遺族と市民社会を徹底的に無視し欺くものであり、人として最低限の礼儀すら踏みにじる行為だ」と非難した。

そして、公式謝罪と再発防止の立場表明、名誉回復と処遇改善、非正規職の雇用構造・労働条件改善、MBC独自の真相調査結果の公開など、遺族側の要求を直ちに受け入れるよう求めた。

(記事提供=OSEN)

◇オ・ヨアンナさん プロフィール

1996年4月30日生まれ。韓国・光州出身。ソウル芸術大学の文芸創作科を卒業。一時はアイドル練習生を目指し、2017年に行われたJYPエンターテインメントの練習生13期公開オーディションに参加。「Hermoso Beauty賞」を受賞し、副賞として3カ月の受講券を受け取った。同オーディションの同期にNiziUのマコ、Stray Kidsのスンミン、元FANATICSのユンヘなど。以降、2019年5月に行われた韓国の伝統美人を選抜する「全国春香(チュニャン)選抜大会」で「スク」に選出。2021年、地上波テレビ局MBCの気象キャスター公開採用に合格し、同局で活動を続けた。しかし2024年9月15日、28歳でこの世を去った。

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