韓国社会の暗部にスポットライトを当てたNetflixドキュメンタリー『全ては神のために:裏切られた信仰』の続編が、ついに公開となった。
8月15日に配信が開始した続編『私は生き延びた:韓国を揺るがせた悲劇の中で』は、韓国社会を震撼させた4つの惨劇を生存者たちの声を通して記録し、二度と繰り返されてはならない悲劇を改めて世に訴えかける。
『すべては神のために』では、自らを“神”と称し、社会を翻弄した人物たちの暗部と、その犠牲となった被害者たちに焦点を当て、警鐘を鳴らした。
続く今回の『私は生き延びた』では、前作でも取り上げた宗教団体「摂理」(JMS、キリスト教福音宣教会)の事件をはじめ、兄弟福祉院、至孫派の連続殺人、三豊百貨店崩壊事故など、依然として現在進行形、もしくは再発の可能性がある事件を取り上げる。序盤の第1、2話では、兄弟福祉院から生還した人々の証言が全面的に描かれる。
兄弟福祉院とは、1975年から1987年まで釜山(プサン)で運営されていた韓国最大規模の浮浪者収容施設で、“浮浪者の取り締まり”を名目に3万人余りが強制的に収容された。その内部では暴行、強制労働、性的暴行など深刻な人権侵害が横行し、数百人が命を落とした。
『私は生き延びた』には、当時収容されていた生存者たちが当時の制服姿で登場し、それぞれの背景、その後の“生き延びた者としての人生”を語る。特に、兄弟福祉院のパク・イングン院長の息子を説得し、カメラの前に初めて登場させた点も注目を集める。彼の証言や深く頭を下げる姿が収められている。
制作期間は約2年。今作では、『すべては神のために』で指摘された“過度な刺激性”に対する配慮が感じられる。前作では、事件の生々しい実態を伝えるためにやむを得なかった面もあったが、過度に刺激的なシーンが視聴のハードルとなった側面もあった。今回は不必要に刺激的な映像や再現シーンを大胆に削り、代わりに被害者たちの生の証言を活かし、必要最小限の資料映像だけを添えることで、視聴者が事件の本質に集中できる構成になっている。
特に、画面の大部分を生存者の証言で構成した点は、他の事件ドキュメンタリーとの差別化されている。淡々とした語り口の中にも鋭く心に迫る言葉があるほか、事件を時系列順に並べるだけでなく、今なお続く苦しみや国家・加害者への責任を問う声として響く。偏りのない視点が、それぞれの痛ましい物語に一層の説得力を与えている。
「被害者」という言葉では言い尽くせない、生き延びた者として背負う重みと、彼らが投げかける鋭い問いは、現在と未来に向けられている。今作も前作に続き、少なからぬ社会的反響を呼ぶことは間違いないだろう。
(記事提供=OSEN)
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