NHK総合テレビで、日曜の夜に放送されている『100日の郎君様』。ド・ギョンスが凛々しく世子(セジャ)の役を演じている。
世子と言えば、『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じた世子の役が印象的だった。同様に、ド・ギョンスも、朝鮮王朝時代の世子にピッタリはまっている。
【関連】NHKで放送が始まった『100日の郎君様』の“世子”とは何か
ただし、歴史的な事実を言うと、世子というのは実に危険な立場だった。
時の国王が亡くなれば、世子は新しい国王になる立場なのだが、それゆえに権力闘争に翻弄される部分もあった。実際、様々な陰謀の末に命を落としている世子が何人もいる。
たとえば、16代王・仁祖(インジョ)の長男だった昭顕世子(ソヒョンセジャ)は、朝鮮王朝の古い政治を改革しようとして、父親から毒殺された疑いが強い。間違いなく、国王である父と長男である世子が激しく対立したうえの悲劇だった。
また、21代王・英祖(ヨンジョ)の息子だった思悼世子(サドセジャ)は、素行の悪さが原因で、英祖から自害を命じられている。
それを拒んだがゆえに、米びつに閉じ込められて餓死させられたのだ。これこそが、朝鮮王朝の最大の悲劇だった。
また、『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じた孝明世子(ヒョミョンセジャ)は、若くて有能すぎたために、当時の最大派閥に毒殺された疑いもある。信憑性が高いとは言えないが、そういう毒殺の疑いをかけられるほど危険な立場だった。
このように世子は危ないリスクを抱えているのだ。
『100日の郎君様』でド・ギョンスが演じる世子も、悪徳の高官によって暗殺を狙われた。しかし、九死に一生を得て記憶喪失になりながら、別の人生を歩むことになる。
そこが、『100日の郎君様』のメインのストーリーなのだが、甦った世子が果たしてどのように王宮に戻るのか。
非常に興味深い展開だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
前へ
次へ