本来であれば心強い味方となるべき家族だが、肉親の騒動によって被害を受けた韓国芸能人たちがいる。
最近、韓国ドラマ『ソンニョ断食院』(原題)が第8回カンヌ国際シリーズフェスティバルの「Korean Fiction ランデブー」部門での上映が決定した。
この作品は、歌手になる夢を抱く「ジス」がオーディションの準備のために断食院に入るという物語を描いたドラマで、出演者の女優チョ・ヘジョンもカンヌを訪れると見られている。
チョ・ヘジョンの動向が注目されているのは、彼女が父親である俳優チョ・ジェヒョンの影響で、長らく活動できていなかったからだ。
チョ・ジェヒョンは「Metoo運動」が行われていた2018年2月、一般人やスタッフなど数人から性的暴行の加害者だと暴露され、芸能活動を全面中断した。
彼は声明文を通じて「告白する。私は間違って生きてきた。30年近く演技生活をし、同僚、スタッフ、後輩に対して失敗と申し訳ない言葉と行動が本当に多かった」と疑惑を認め、「これからは被害者の方々に罪を償う気持ちで私の人生を振り返る時間を送る。申し訳ない」と謝罪した。
この騒動の影響をもろに受けたのは、娘チョ・ヘジョンだった。父親が芸能界を退場した状況で、チョ・ヘジョンも2017年11月の『ゴー・バック夫婦』を最後に表舞台に立たなくなった。
久しぶりのカムバックとなったドラマ『私たちのブルース』(2022)の第1話と第2話に少し出演した際も、オンラインでは反応が分かれた。「セクハラ加害者と目された人物の娘をテレビで見るのが嫌だ」という声と、「あまりに不当だ」という意見が対立したのだ。父親への嫌悪をそのまま引き受けることになったといえるかもしれない。
チョ・ヘジョンのように、血縁者によって思わぬ議論に巻き込まれる韓国芸能人を見るのは、なんともやり切れない思いがする。
今年2月には、ドラマ『ペントハウス』などで知られる女優のイ・ジアが「両親と縁を切った」ことを明かしている。
事の発端は、とある韓国メディアがイ・ジア(本名キム・ジア)の祖父キム・スンフンさんが「親日派」に分類された人物で、彼が残した350億ウォン(約35億円)相当の土地をめぐって子どもたちの間で法的紛争が発生したと報じたことだ。
それによると、イ・ジアの父であるキム氏は兄弟の末っ子で、遺産である土地の転売過程で兄と姉の印鑑を使って委任状を偽造したという疑惑を受けている。
祖父が親日派とされ、父親も遺産をめぐる法的紛争に巻き込まれたイ・ジアは、最終的に謝罪に追い込まれた。
イ・ジアは2月21日、家族の紛争に関して「私は18歳で自立し、両親からいかなる金銭的支援も受けたことがなく、恥ずかしながら複雑な家族事情によって両親と縁を切って過ごしてからすでに10年以上が過ぎた」と説明した。
また、祖父の親日議論については「私が2歳になった年、祖父が亡くなった。祖父の記憶はなく、親日行為についても一切知らずに育った」としながらも、「当時の時代的背景を考慮しても、いかなる理由でも正当化できないと考える」と伝えた。そして「祖父の歴史的な過ちを深く認識し、子孫として心から謝罪する」と述べた。
よりダイレクトに、親の借金が問題となった韓国スターも少なくない。
ガールズグループTWICEのナヨンとその母親は、2023年9月に6億ウォン(約6000万円)相当の債務不履行訴訟で勝訴して話題を集めた。
ナヨンの母親の元恋人が、ナヨンの母親の頼みで生活費など必要な資金を貸したが、「練習生だったナヨンが歌手としてデビューすることになればお金を返すと約束したが、ナヨン側が約束を破った」として訴訟を起こしたのだった。
裁判所は「貸与金とは断定できない」とし、元恋人に敗訴の判決を下したが、ナヨンにとってはプラスに働くことのない騒動だった。
女優のハン・ソヒも母親に苦しめられた。
2020年放送のドラマ『夫婦の世界』でブレイクしたハン・ソヒは、当時、母親の債務不履行による借金騒動に巻き込まれた。そのため、彼女は5歳から両親の離婚により母方の祖母のもとで育ったこと、母方の祖母との義理もあって母親の借金を返済しようと努めたことなど、壮絶な家庭事情を告白することになった。
しかし2022年に母親が8500万ウォン(約850万円)を借りて返済しなかったという事実が発覚。最終的にハン・ソヒは「これ以上母親の借金に責任を負わない」と、事実上の“絶縁”の立場を明らかにした。
これで母親の問題も終わりかと思われたが、それから2年後の2024年9月、今度は母親が違法賭場を運営した疑いで拘束され、またしてもハン・ソヒの足を引っ張った。
本来支えであるはずの家族によって夢やキャリアを脅かされる芸能人が、これ以上現れないことを願うばかりだ。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
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