所属事務所ADORと争っているNewJeans(NJZ)が、米ニュース紙を通じて率直な思いを吐露した。
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NewJeansは3月21日、ソウル中央地裁からADORの主張を全面的に認める仮処分決定を受けた。ADORは「専属契約の地位保全」「広告契約の締結禁止」などを求めていたが、裁判所はこれをすべて認め、メンバー側が主張していた契約解除の正当性は認められなかった。
その後、翌22日に『TIME』が公開したインタビューでNewJeansメンバーたちは、現在の心情を明かしている。「都合よく視点を変えて、都合のいいときには私を子ども扱いし、都合のいいときには大人のように振舞うことを期待する人がいます」「本当につらかった」「K-POP産業の問題が一夜で変わるとは思っていません。これが今の韓国の現実なのかもしれない」「韓国は私たちを“革命家”にしたがっているような気がする」など、冷静な言葉からは、巨大なシステムと向き合う若いアーティストの葛藤がにじんでいた。
そして23日には、香港で開催された複合カルチャーイベント「ComplexCon」にヘッドライナーとして出演。“NJZ”という新たな名義で初めてファンの前に立ち、『PIT STOP』などの新曲を披露。会場ではNJZのグッズも販売され、注目度の高いステージとなった。だが、このステージの最後、メンバーは観客に向けて突然の活動中断を発表した。
マイクを握ったミンジは、「私たちは裁判所の判断を尊重し、しばらくのあいだ一歩下がって、心を整える時間を持ちたいと思っています」と語り、「これは終わりではありません。必ず戻ってきます。そのときは明るい笑顔で、また皆さんに会いたい」と再起への決意をにじませた。さらに「5人とも、いつもBunnies(NewJeansファン)のことを考えています。健康に気をつけて、よく食べて、ちゃんと眠って、楽しい時間を過ごしながら待っていてくれたら嬉しいです」と、ファンへの想いもまっすぐに伝えた。
今回のイベント出演は、裁判所の仮処分決定後に行われた初の公式ステージだった。さらに、NewJeansとしてではなく“NJZ”としてパフォーマンスする初の場でもあり、ファンの関心は高まっていた。そのため、パフォーマンス直後に突如発表された活動中断が衝撃だったことは言うまでもない。
一方で、今回の新曲披露が裁判所の決定に抵触する可能性も指摘されている。裁判所はNewJeansに対して、ADORの承認なく音楽活動を行うことを禁じているため、ComplexConでのステージがこれに該当するかどうかが今後、議論を呼びそうだ。
現在、メンバーたちは4月3日に予定されている「専属契約の有効性確認訴訟」の弁論期日を控えている。ADORへの復帰は明確に否定しており、活動名も“NJZ”へと切り替え、商標登録まで進めている段階だ。5人は巨大なK-POPシステムの中で自分たちの居場所を模索しながら、言葉と行動でその意思を示し続けている。
この一連の動きの背景には、ADOR元代表ミン・ヒジン氏と親会社HYBEとの経営権をめぐる対立も横たわっており、表面的にはアーティストと事務所の契約紛争であっても、その裏には韓国芸能界の構造的なひずみが浮かび上がっている。NewJeansが背負っているものは、単なる“自由の獲得”ではなく、システムそのものに対する問いかけなのかもしれない。
◇NewJeans(NJZ)プロフィール
2022年7月22日にミュージックビデオを公開し、「NewJeans」として電撃デビューした5人組ガールズグループ。2004年生まれのミンジとハニ、2005年生まれのダニエル、2006年生まれのヘリン、2008年生まれのヘインで構成された。デビューアルバム『New Jeans』の発売と同時にライジングアーティストとして急浮上。デビュー曲『Attention』と『Hype Boy』が韓国Melonの「TOP 100」チャートで1、2位を記録した初のガールズグループとなった。またK-POPグループで初めてデビュー曲(『Attention』)がSpotifyの「ウィークリートップソング・アメリカ」にチャートイン。所属事務所ADORとの紛争のなか、2025年2月7日にグループ名を「NJZ」に変更すると発表した。
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