俳優ハ・ジョンウ、15年前の約束が守られた『クローゼット』への思い【インタビュー後編】

2020年02月09日 話題 #韓国映画

韓国で2月5日に公開された映画『クローゼット』(原題)で、初めてミステリー&スリラーに挑戦した俳優ハ・ジョンウ。

【前編】ハ・ジョンウが語る俳優としての“意外な”心構え「一生がスランプ」

普段ホラーやスリラー映画が苦手だという彼は『クローゼット』についてこう話す。

「スリラー映画は苦手だ。怖い。ただ、この映画ははわざとらしさが少なくてよかった。クローゼットの中の黒色のように、ジャンルのことを考えずに観てもらえれば面白さが極大化されるはず」

初めてスリラーに挑戦して得たものはあっただろうか。

「悪童のような気持ちかな。誰かを驚かせたいという気持ちが生まれた。試写会の時、とあるシーンで観客がびっくりする様子を見て心の中で笑った。やはり演出の役割も大きいけれど、この映画の一員として『こんな映画は悪童の気持ちで作るものなのか!』と思えるきっかけになった」

ジャンルに加え、シングルファザーを演じるのも容易ではなかったはず。それについて彼は「私のキャラクターは、自分に子供がいるという事実だけ知っていて、正常な親娘関係を作っていなかった。私はまだ未婚なのでその気持ちが分からず、監督とたくさん話し合った。この映画は、娘の失踪によって本当の父親になっていく、そういう機会が与えられる道のりではないかと思う」と語った。

『クローゼット』のメガホンを取ったキム・クァンビン監督とは、特別な因縁があるという。15年前に出演した映画『許されざるもの』(2007年日本公開)で、それぞれ俳優と同時録音エンジニアとして一緒に仕事をしているのだ。

(写真提供=CJエンターテインメント)

「『許されざるもの』の撮影期間が13カ月だった。学生映画だったので制作費もなく、スタッフの入れ替えも激しい中でキム・クァンビン監督は13カ月間、最後まで一緒だった。クランクアップの日が、私の入隊前日だった。2人ともイルサンに住んでいたので一緒に出退勤をしながらいろんな話をした。彼には『僕が監督になれば絶対にヒョン(兄さん)とやります!』と言われた。15年前のあの頃、現実を支えてくれたのは、ああいう完璧な想像だった」

そして年月が経ち、キム・クァンビン監督が『クローゼット』の脚本を持って『許されざるもの』のユン・ジョンビン監督と自身を訪ねたという。

「3人で会って、最初は共同制作をすることにした。ところがユン監督から出演も勧められ、魅力的だと思った。そして俳優キム・ナムギルも合流し、力を合わせて誕生したのが『クローゼット』だ」

15年前の約束が守られたことについて「胸にじんとくる」と話すハ・ジョンウ。

「あれは私たちのたわごとだったかもしれないが、15年が経って実現された。後で振り返るとあまりにも大きい、計り知れない大事な思い出になっていると思う」(了)

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