韓国と日本、両国の“巨匠”が集まった。
5月10日、ソウル龍山(ヨンサン)区のCGV龍山アイパークモールでは映画『ベイビー・ブローカー』の制作報告会が開かれた。是枝裕和監督はオンラインで制作報告会に参加した。
来る6月8日に韓国で公開される映画『ベイビー・ブローカー』は、韓国を代表する俳優ソン・ガンホと日本の是枝監督が意気投合した作品で、全世界の映画人から大きな関心を受けている。
2人のコラボレーションは、6~7年前にさかのぼる。ソン・ガンホは「昔から是枝監督の作品世界が好きだったが、6~7年前の釜山(プサン)国際映画祭のときに出演提議を受けた」と説明した。
そして「是枝監督の作品を見ると、冷たい話で始まり、温かいヒューマニズムで終わるだろうと思うが、今回は逆に温かく出発し、冷たく冷静な視線で社会と世界を眺める」と付け加えた。
主人公のサンヒョン役に、ソン・ガンホを念頭に置いて台本を書いたという是枝監督は「ソン・ガンホは善と悪が絶妙に交差する人物を多彩に表現する俳優」とし、「今回も悪人なのか善人なのか、観客が混乱する人物像を作り出した」と満足感を表わした。
2つの巨匠間の架け橋の役割は、映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が引き受けた。是枝監督は「撮影前、ポン・ジュノ監督と食事を一緒にしながら、いくつかのアドバイスを聞いた」とし、「ポン監督がソン・ガンホは太陽のような存在だから、現場が始まったら無条件にソン・ガンホに任せろと言った。実際にソン・ガンホのおかげで安心して撮影を終えることができた」と伝えた。
ソン・ガンホは「日本の巨匠監督は緻密だという先入観があったが、俳優にすべてを任せる自由な作業環境に驚いた」とし、「監督自身の話より俳優たちの声を聞きたいという点で素晴らしい作業形態だと思う」と回答した。
『ベイビー・ブローカー』は2人のコラボに加え、トップ俳優カン・ドンウォンが映画『義兄弟 SECRET REUNION』(2010)以来、12年ぶりにソン・ガンホと再会し、歌手兼女優のIU(イ・ジウン)の初の長編商業映画デビュー作という点でも注目されている。
カン・ドンウォンは「私もたくさん成長したのか、以前よりはるかに(ソン・ガンホと)呼吸がよく合った」と話した。『ベイビー・ブローカー』で初めてカンヌ国際映画祭のレッドカーペットに立つIUは「生きていて、このような日がまたあるのかという気持ち」とし、「一生懸命学んで楽しんでくる」と感想を明らかにした。
『ベイビー・ブローカー』は5月17日に開幕する第75回カンヌ国際映画祭の競争部門に進出し、パク・チャヌク監督の『別れる決心』(原題)などと共にパルムドールを競う。ソン・ガンホは7回目、是枝監督は8回目のカンヌ国際映画祭への出席だ。
是枝監督は2018年に『万引き家族』でパルムドールを受賞し、翌2019年にはソン・ガンホが主演俳優として出演した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』がその栄光に浴した。
そのため今年は、ソン・ガンホの主演賞男優賞の受賞も慎重に期待されている。ソン・ガンホは「映画祭は祝祭であり、楽しみでもあるだけに、スポーツと違って結果を出さなければならないとは思わない」とし、「賞を目標にはしないが、常に良い成果を出して賞を受けており、感謝の心」と謙虚な心境を伝えた。
是枝監督は「カンヌ国際映画祭は私たちの映画にとって、最高のワールドプレミアの場所」と喜びを表した。
なお映画『ベイビー・ブローカー』は、ベイビーボックスに残された赤ちゃんの新しい親を見つけて取引しようとする“善意のブローカー”サンヒョン(演者ソン・ガンホ)とドンス(演者カン・ドンウォン)の前に、子供の母親ソヨン(IU)が現れ、刑事たちが彼らを追いかけながら展開される物語を描いた。ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、IUの他に、『秘密の森』女優ペ・ドゥナ、『梨泰院クラス』女優イ・ジュヨンなどが出演する。
是枝監督とソン・ガンホのコラボで期待される『ベイビー・ブローカー』は、韓国で来る6月8日に、日本では6月24日に公開される。
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