韓国の第20代大統領選挙が翌日(3月9日)に迫るなか、大統領選候補に向けた芸能人の公開支持宣言が相次いでいる。ただ以前に比べると、スターたちの遊説はかなり減ったという声も出ている。
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与野党の選挙対策委員会が早くから文化芸術界の有名人の支持宣言を引き出そうと水面下で努力してきたなか、選挙終盤になって、与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補と、保守系野党「国民の力」ユン・ソギョル(尹錫悦)候補に対する支持宣言が続いている。
大衆の人気が重要な芸能人にとって、明確な政治色を明らかにすること自体が負担になるが、彼らの発言と支持宣言は政治に無関心な層の注目を集めるという点で、大統領選候補たちには大きな力になる。
最近、共に民主党の選挙対策委員会は、イ・ジェミョン候補への支持を宣言した文化芸術家1万100人の名簿を公開した。
俳優のイ・ウォンジョン、キム・ウィソン、キム・ヒョンソン、パク・ヒョックォン、キム・ギュリ、ソン・ビョンホをはじめ、歌手RIAA、芸人カン・ソンボム、武術監督チョン・ドゥホン、ギタリストのシン・デチョルなどが、イ・ジェミョン候補の公開支持者リストに名を連ねた。
また作曲家ユン・イルサン、歌手イ・ウンミなどが選挙対策委員会内の「K-カルチャーメンター団」に合流して活動している。前出の俳優パク・ヒョックォンは3月1日、ソウル明洞(ミョンドン)で行われたイ候補支持演説に自ら乗り出し、「生業が途絶えてもイ・ジェミョンを支持する」と公の場で発言し、話題になったりもした。イ・ウォンジョンも「話にならない人が私の未来を担うということは到底我慢できない」とし、強くイ候補を支持した。
対する「国民の力」ユン・ソギョル候補も、5810人の文化芸術界の支持者リストを公開した。
俳優トッコ・ヨンジェ、歌手キム・フングク、音楽グループのコリアナ、芸人のキム・ジョングクらがユン・ソギョル候補の支持を宣言した。トッコ・ヨンジェやキム・フングクは過去にも数回、保守政権の大統領選候補を支持している。
その一部は「スターフィールド遊説団」に参加し、全国各地で支持遊説を行っている。彼らは2月の支持宣言文で「文化芸術のアイデンティティを守り、中国の文化工程に堂々と対抗し、新韓流を通じて大韓民国を世界一流の文化国家に発展させていく適任者はユン候補」と強調した。
一時、選挙戦で芸能人の遊説は見慣れた光景だった。特に今回の大統領選挙は、歴史的にも最も接戦だったという第18代大統領選挙よりも、さらに両党候補の支持率が近づいている“超接戦”の状況だという声が出ている。
結果を予測しがたい構図であるため、認知度のある芸能人の公開支持宣言は、政界からすれば嬉しい限りだ。彼らの政治参加が政治無関心層の視線を引き、浮動層の票を動かしたりもするからだ。
ただ一部では、以前と比べて文化芸術界関係者の公開宣言が相対的に減ったという話も出ている。
実際に今回の大統領選挙関連の全国遊説では、以前ほどスターの姿は見当たらなかった。芸能界では2016年に起こった「文化界ブラックリスト事態」が一役買ったという見方が強い。とある芸能事務所関係者は「李明博(イ・ミョンバク)政府当時、政策に反対した文化界人士の“生業”を切ろうとした“ブラックリスト事態”後、芸能界は政治色を公開することに慎重な雰囲気」と耳打ちした。
SNSを通じたコミュニケーションが多くなり、急増した悪質コメントが影響を及ぼしているとの見方もある。実際に俳優キム・ウィソンは、イ・ジェミョン候補の支持を宣言したことで数々の悪質コメントに苦しめられたりした。
そもそも政治家と距離を置こうとするスターも増えてきている。最近、俳優コ・ドゥシムはSNSやオンラインコミュニティなどに広がったイ・ジェミョン候補を支持しているという書き込みに対して、「事実ではない」と断固とした態度で答えた。中年層に多くのファンを持つ歌手イム・ヨンウンも、選挙ソング関連のイシューについて「第20代大統領選挙運動と関連してどの政党にも選挙ソングを提供したことはない」と線を引いた。
さらに依然として政治不信や「過去最低の非好感大統領選挙」という視線に対する負担も、芸能人の公開支持が減った理由として取り上げられている。芸能界のとある関係者は「大衆の関心を集める芸能人の立場では、今回の大統領選挙のような過熱様相で、どちらか一方を支持した際、反対側の攻撃を受けることに対する恐怖が大きい」とし、「支持宣言を誤り、悪いイメージがつく可能性があるため、支持することをはばかるしかない」と話した。
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