映画『うつせみ』『春夏秋冬そして春』などで知られる“鬼才”、故キム・ギドク監督が自身に性暴力を受けたと暴露した女優と、関連内容を報じたメディアを相手にした損害賠償訴訟控訴審で敗訴した。
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ソウル高等裁判所・民事13部(カン・ミング、チョン・ムンギョン、チャン・ジョンファン部長判事)は11月5日、キム・ギドク監督が女優A氏とMBCを相手に請求した10億ウォン(約1億円)の損害賠償請求訴訟控訴審で、1審と同じく原告敗訴の判決を下した。
控訴審裁判部は「原告が様々に無念を主張するが、法理的に受け入れられず、原告の控訴をすべて棄却する」と明らかにした。
先立ってMBCの『PD手帳』は2018年3月、「巨匠の素顔」編で俳優たちの証言に基づいてキム・ギドク監督のセクハラ疑惑を告発し、同年8月「巨匠の素顔、その後」編を放送した。
これに対してキム・ギドク監督は2019年3月、女優A氏とMBCが虚偽の主張をもとに放送を行い、自身の名誉を毀損したとして、彼らを相手に損害賠償訴訟を提起して敗訴した。
A氏は2013年の映画撮影中、キム・ギドク監督が感情移入のために自分の頬を殴り、台本になかったベッドシーンの撮影を強要したとし、2017年に暴行と強要、強制わいせつ致傷などの容疑でキム・ギドク監督を告訴した。
検察はキム・ギドク監督の性暴力関連の容疑は証拠不十分で嫌疑なしとし、暴行容疑に対してのみ罰金500万ウォン(約50万円)で略式起訴し、裁判所で有罪が認められた。
以降、キム・ギドク監督はA氏を誣告の容疑で告訴し、A氏の陳述を根拠に「巨匠の素顔」を報じたMBCを名誉毀損容疑で告訴したが、検察は虚偽事実と断定できないという理由で不起訴処分を下した。
海外に滞在したキム・ギドク監督は2020年12月、新型コロナで死去し、訴訟はキム監督の遺族が原告資格を継承した。
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