男女が別れるときに、相手に良い感情を持つことは容易ではない。恋人関係はもちろん、夫婦間の離婚は二度と会いたくない“敵”と感じることが常だ。
それでも人は、いつも伴侶を見つけようとさまよう。その道が苦難のいばら道であることは明らかだが、万が一、自分の伴侶を見つけた場合は、幸せと愛の中に生きることができるからだ。
100%好みの異性を見つけることは、宝くじの確率といえる。だからそれぞれの基準値を下げて恋愛して結婚する。その基準値は最近、高騰する住宅価格のように、ひたすら着実に上昇傾向にある。
1980年代には両親の強要で出会い、いい加減に結婚式を挙げる事例もあったが、MZ世代(今の20~30代)となれば、ありえない話だ。見慣れない配偶者と暮らすのであれば、今回の人生では結婚をあきらめる。厳しい生活と大変な金稼ぎ、劣悪な育児環境も、彼らにシングルライフを強要する要素だ。
“俳優K”ことキム・ソンホのゴシップを取り扱おうと思ったら、社説が長くなった。別れた元恋人の暴露文で、人気急上昇中だったイケメンスターのキム・ソンホは、俳優人生の危機を迎えた。
一言で、キム・ソンホは“悪い奴”というのが、匿名で上げられた暴露文の核心だ。一体どれほどの悪事をしたのか、広告はすべてなくなり、出演していたバラエティからも降板され、予定されていた映画の撮影も全部保留という状況にある。
世論を動かした決定的なキーワードは“中絶強要”だ。少し前も似たような事件が韓国芸能界を揺るがしたが、今回のそれとは大きく事情が違う。今回は結婚適齢期の男女関係で起こった出来事であるため、第三者があれこれ言うことができないはずの2人だけの私生活に世論が沸き起こったのだ。
雲の上を歩くように見えた芸能人は、その点で、いつも致命的な弱点を見せる。ちょうどキム・ソンホがドラマ『海街チャチャチャ』の成功で、株価が上昇していただけに、火に油を注いだ格好だ。
元恋人をAさんと呼ぼう。彼女は去る10月17日、“俳優K”の実体を暴露するとし、オンラインコミュニティに暴露文を投稿した。Aさんは昨年8月頃に妊娠したのだが、俳優Kが作品などを口実に中絶を勧めたと明かした。Aさんは、俳優Kが作品が終わったら結婚すると約束したが、中絶後、自分の痕跡を消してしまったと暴露した。
俳優Kの正体は、たちまち明らかになった。よりによって『海街チャチャチャ』のツンデレで多くの視聴者を虜にしたキム・ソンホだったので、失望感が増した。「ねえ、ホン班長。あなたはそんな人ではないでしょう?」といった思いだ。
「中絶要求」と「心変わり」。その2つを前面に押し出した世論の“石投げ”が始まった。キム・ソンホが墜落する間、所属事務所もグロッキー状態で謝罪だけを繰り返した。ゲームオーバーがそう遠くない状況でキム・ソンホはタオルを投げ、Aさんは降伏を受け入れた。大山鳴動して鼠一匹(前触れのさわぎばかりが大きくて、実際の結果は極めて小さいこと)、こんな結末なのか。
一部のメディアの報道で身元が明らかになり始めたAさんも、“俳優K”ことキム・ソンホの没落を見て、心の安定を求めた形だ。ひざまずいた元カレからの謝罪を受け入れることで、事態を終わらせた。
Aさんは、キム・ソンホの公式謝罪後、自分の最初の投稿に「私の文章によって多くの方々に意図しない被害を与えたようで申し訳ない。私と彼、いずれも心から愛し合った時間があったのに、私の一部の過激な文章によって、一瞬で崩れ去る彼の姿に私も心が良くない。あの方から謝罪を受け、お互いに誤解した部分があったようだ。これ以上、事実とは違う内容が知られたり、私やあの方の話が拡大再生産されたりしないことを願う。今回のことで、多くの方々に大きな被害を与えたようで、心が重い」と付け加えた。
キム・ソンホのイメージに与えた傷は、当分修復は難しいが、ひとまず騒動は終了した。なぜなら別れた恋人間の確執は太古の昔から存在し、常にどちらか一方が悪い××だからだ。
子供を育てる記者の立場では、むしろ2人にとって良いことだったのではないかと思う。子供は愛する夫婦、仲の良い両親のもとで育ってこそ、本当に幸せになるのだから。
(記事提供=OSEN)
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