『ホント無理だから』が、いつでもどこでも気軽に出して食べられる“スナック菓子”のような魅力で、シチュエーションコメディー(以下、シットコム)の復活を知らせた。
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Netflixオリジナルシリーズ『ホント無理だから』が、多文化シットコムという新たなジャンルを開拓した。今作は国際寮を背景に、そこに住む学生たちの愛と友情を描いたシットコムだ。
最近ではシットコムというジャンルが減り、視聴も難しくなったが、OTTを通じて再び復活した。OTTの代表的なサービスにはNetflixやHulu、Amazonプライムなどが挙げられる。
青春シットコム『男女6人物語』(1996年)や、2000年から2005年まで放送のドラマ『ノンストップ』シリーズを手掛け、シットコム全盛期を率いたクォン・イクジュン監督がクリエイター兼演出を務め、2009年から2010年まで放送の『明日に向かってハイキック』シリーズや、『じゃがいもの星』を手掛けたキム・ジョンシク監督がエピソード演出を務めた。
ドラマではパク・セワンやシン・ヒョンスン、GOT7のヨンジェら韓国人だけでなく、(G)I-DLEのミンニ、ハン・ヒョンミン、ヨアキム・ソレンセン、カーソン・アレン、テリス・ブラウンなど多国籍俳優たちも出演。流暢な韓国語の実力を発揮し、今までにはなかった新鮮さを視聴者へ提供した。
『ホント無理だから』はNetflixを通して公開されて以降、タイで2位、サウジアラビアでトップ10以内に入るなど、話題性を立証している。
クォン・イクジュン監督は「韓国には本当にさまざまな国の方たちが来る。来る目的も色々で、本当に韓国文化を好んでくださる方が増えた」とし、「だが、最近はほかの国で暮らしたいという韓国の若者たちが多くなった。外国人の若者たちが韓国に来たがるのとは逆に、(韓国の若者は)韓国を離れたがっている。こういった背景も話に入れられたらと思った」と、ドラマの企画意図を明らかにした。
今作ではカーソン・アレンが少し厄介なアメリカ人を演じたほか、スウェーデン国籍のヨアキム・ソレンセンは韓国の民族衣装を着て儒教を重んじるハンスを演じた。また、アメリカ国籍のテリス・ブラウンは恋人がころころ変わる女たらしのテリスを演じ、大きな笑いを誘った。
キム・ジョンソク監督は「韓国語が上手で演技もできる若手を探すことが難しかった」とし、「母国語ではない韓国語で演技し、ドラマを最後まで作りあげられたのは彼らの努力があったおかげだ。たくさん練習し、苦労も多かった」と撮影当時を振り返った。
最近では、『ホント無理だから』のようなシットコムとOTTの出会いよって羽が広がっている。これまであまり視聴者の目につかなかったシットコムが、新たな成長を遂げているのだ。
女優キム・ソンリョンが出演する『こうなった以上、青瓦台に行く』(原題)は国内OTTプラットフォームwavveで制作中であり、今年下半期に公開予定の『美味しい奴ら、作る奴ら』(原題)についても、さまざまなOTTと交渉中だと明らかにした。
クォン・イクジュン監督は「『ホント無理だから』は事前収録をして12話分を一度に公開したため、上手くできたか不安もあった。しかし、1週間の撮影では物理的、時間的にできなかったことを(事前収録のおかげで)逃がさずに済んだ」とし、「シットコムは毎回エピソードが違う。自分が必要なときに、1つずつ取り出して食べるスナック菓子のようなものだ。地下鉄や公共交通機関でも1つずつ取り出すことができるから、OTTと相性が良いかもしれない」と述べた。
『ホント無理だから』は多国籍俳優が韓国文化に溶け込んでいる姿を表現するほか、全世界同時配信でもあるため、ある意味では慎重になる点も多かったはずだ。
この点について、クォン・イクジュン監督は「企画段階からグローバルの普遍性について悩んだ。世界のどの文化圏で見ても嫌な気持ちにならず、多様性の部分で抜けたところがあってはならない」と強調。
続けて、「ミスがあれば私たちが積極的に解明する」とし、「コメディは国境を超えると面白さが圧倒的に落ちる。キム監督は普遍的な面白さを追求しようと話し、簡単なコメディをたくさん推進した。シットコムの本質はコメディなので、それが海外の視聴者に受け入れてもらえると良い」と明かした。
また、韓国の視聴者に向けては「新しい俳優たちに対する興味が湧くことを期待している」とし、「多様性、偏見、差別は世界的に重要な問題であり、韓国はコンテンツを輸出している国だ。韓国文化の中で開放性に関する部分、多様性に関する部分を考えながら見てくれたら嬉しい」と語った。
最後に、撮影で一番記憶に残っているエピソードにはハン・ヒョンミンが髪を剃るシーンを選んだ。
キム・ジョンソク監督は「ヒョンミンが軍隊に行くために髪を剃るシーンがあった。ヒョンミンに髪を剃るシーンがあることを伝えたら、(彼は)“そうします”と言った。機会が一度しかなく、一発本番の撮影に心血を注がなければならなかった」と笑った。
クォン・イクジュン監督も「俳優たちの成長を感じられる」とし、「1話から最終話までキャラクターを演じ、韓国語や演技を上手くこなしていくのが見える。キャラクターにハマるとより話が面白くなる。最後まで見ればさらに面白いだろう」と述べた。
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