“逆に安全かも!?” コロナの深刻化で客足遠のく、韓国の映画館事情【現地レポ】

2020年12月14日 話題 #韓国映画

韓国で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するなか、映画館の危機も続いている。

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1日の感染者が数百人から1000人を超えることもあり、ソーシャルディスタンスの重要性が一層高まった。防疫対策「社会的距離確保」の2.5段階が再実施され、生活にも大小の変化が生じているが、映画館が日常から遠ざかったのもその一つだ。

1段階に引き下がって座席の間隔を開けることが緩んだのもつかの間、2.5段階の引き上げと同時に夜9時以降は映画館の運営ができなくなった。

映画の上映時間が一般的に約2時間であることを考えると、午後6時、7時台スタートの映画がその日の最後の上映作になる。そのため1日の上映回数は半分に減り、観客数はさらに激減してしまった。

夕食を食べたあとに映画を見る、平日の“プライムタイム”もあきらめなければならない状況。週末もさほど変わらず、金・土曜日の夜も閑散としており、深夜映画のロマンもなくなった。

映画『徐福』(原題)、『人生は美しい』(原題)、『ソウルフル・ワールド』など、年末の期待作が次々と公開を延期した影響で新作の数自体が少なく、ソーシャルディスタンスの影響で客足も途絶えてしまった。現在公開中の『ジョゼ』(原題)が、韓国映画のプライドを守っているが、これも容易ではない。

『ジョゼ』は、先週末(12月11~13日)のボックスオフィス1位を占めたが、この期間中の観客動員数は約5万6000人にとどまった。1日の観客数は1~2万人台。主演俳優らの熱演と、繊細な演出で好評を得ている割には残念な数字だ。

『ジョゼ』に続くほかの映画はもっと痛恨の状況だ。いつも観客で賑わう週末のマルチプレックスシアターも、今は「どこよりも安全だ」という冗談があるほど閑散としている。

先週末の予約状況を見ると、CGV龍山店、ロッテシネマ・ワールドタワー店を除いては、上映を控えた映画もほとんどが空席で寂しく観客を待つだけだった。

映画を作った側も上映する側も、「見に来てほしい」と訴える状況ではないため、問題は複雑だ。

さらには社会的距離確保の3段階の可能性も提起され、映画業界には緊張感が漂う。3段階に引き上げられると、映画館や百貨店、デパート、結婚式場など幅広い業種で店舗営業が出来ない。

業界のとある関係者は、「映画を見に来てほしいという話も躊躇される状況のため、どうすることもできない。宣伝そのものが慎重だ。だからと言ってずっと公開を遅らせるわけにもいかないし、人がいないからといって映画を上映しないわけにもいかないので大変だ。本当にこのまま一年が経つとは思わなかった。現実的な対策も考えてみる段階ではないかと思う」と話した。

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