若者からの支持でライジングスターとして注目される韓国の女優シン・イェウン(22)とパク・ジュヒョン(26)が、“成長痛”を経験している。
2人とも最初のスタートは良かった。特にシン・イェウンはウェブドラマの主演で強い印象を残した。2018年のウェブドラマ『A-TEEN』のト・ハナ役でデビューしたシン・イェウンは、“ト・ハナ病”を流行させるほど10代の若者から爆発的な人気を得た。
次期作でtvNのドラマ『サイコメトリーあいつ』(原題)の主演に大抜擢されたことだけを見ても、その関心の高さを推察することができるだろう。
しかし“ウェブドラマ女神”という修飾語を手にしてテレビドラマに登場したシン・イェウンは、厳しい現実と向き合わなければならなかった。『サイコメトリーあいつ』からKBS2のドラマ『おかえり』(原題)、現在韓国で放送中のドラマ『場合の数』(原題、JTBC)まで、続けて主演を引き受けているが、主演を任せるには物足りない演技力がいつも足を引っ張った。
落ち着いた演技はできるが、感情が高まるシーンでは表情の演技や発声などにぎこちなさを残した。
話題を集めたネットフリックスオリジナルシリーズ『人間レッスン』を通じて、“怪物新人”となった女優パク・ジュヒョンも状況は似ている。『人間レッスン』でパク・ジュヒョンは、新人らしくない強烈な姿を見せ、デビューと同時に有望株の1人になった。次期作のドラマ『ゾンビ探偵』(原題、KBS2)で、すぐに主人公の座についた。
しかし期待感が高すぎたせいだろうか。まだテレビドラマでは見慣れないゾンビをテーマに掲げ、視聴者に没入感を与えるためには、パク・ジュヒョンの表現力は少なくない問題点を表面化させた。
ここ最近、韓国のライジングスターは、ウェブドラマやYouTubeなどのOTT(ネットによるコンテンツ配信)を通じて登場してきた。
前出のシン・イェウンやパク・ジュヒョンのほか、キム・ドンヒ、イ・ナウン、シン・スンホなど多くの新顔がウェブドラマとOTTを通じて、10代、20代の支持を受け、すぐにテレビドラマに出演している。今ではそれが新人たちの演技デビューのひとつの手順のようになった。
しかしシン・イェウンとパク・ジュヒョンの事例のように、若い視聴者層の支持を得た後、テレビドラマで本格的に主演俳優を務めたものの、すぐ演技力不足という過酷な壁にぶつかるケースを簡単に見つけることができる。まだ演技経験の多くない新人であるだけに演技力に対する指摘は当然ともいえるが、ドラマファンの評価は非常に厳しいのが現実だ。
ウェブドラマやOTTとテレビドラマの違いは、プラットフォームだけでなく、メインの視聴者の違いでもある。前者は10~20代が中心、後者は中高年がメインという明確な違いがある。ウェブを通じて証明した人気とファン層を、そのままお茶の間に引っ張ってこようとすると、どうしても無理が生じるという話だ。
とある関係者は、「ウェブドラマとOTTでは新人という点を踏まえて見ることができる演技力も、マスメディアに入ってきた後には、視聴者たちが寛大に見てくれない傾向が強い」とし、「新人という理由だけでは不足を見てくれず、冷静な批判がついてまわっている」と説明した。
一度でも“演技力不足”というレッテルがつくと、それを覆すために必要以上に多くの努力がつきまとう。さらに本人だけでなく、ドラマ自体まで否定的に見られることにもつながる可能性があるため、演技者、特に新人俳優には特別な努力が必要な問題だ。
そのため主演ではなく、より自分に似合うキャラクターを見つけるべきだとの指摘もある。
とあるテレビ関係者は「シン・イェウンとパク・ジュヒョンは、ジャンルは違うものの『A-TEEN』と『人間レッスン』で注目されただけに、それぞれが持っているイメージを突き破る努力が必要」とし、「役割の大きさや視聴率ではなく、作品のたびに新しい演技に挑戦し、自分に合うキャラクターを演じてはどうか思う」と付け加えた。
“成長痛”という言葉はマイナスだが、別の意味では演技者としての跳躍の足場を用意している段階という意味でもある。新人でありながら自分の可能性を認められ、恐れることなく挑戦する姿勢を見せるなど、2人は多くの利点も持っている女優だ。
結局のところ、すべては本人たちに意思にかかっている。“怪物新人”、“ウェブドラマ女神”という修飾語にこだわるのではなく、もう少し自分の演技を練って現在の成長痛を乗り越え、本物の女優として成長することを期待したい。
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