韓国が“テコンドー宗主国”の底力を発揮した。
【写真】韓国人選手、記念撮影で日本の金メダリスト差し置いて前に…物議の一枚
8月8日(日本時間)、フランス・パリのグラン・パレで行われたパリ五輪・テコンドー男子58kg級決勝では、韓国のパク・テジュン(20)がアゼルバイジャンのガジム・マゴメドフ(24)の負傷により途中棄権で勝利し、金メダルを獲得した。
パク・テジュンは今回のパリ五輪に出場しているテコンドー韓国代表の最年少メンバーだ。2004年6月生まれで、まだ20歳に過ぎない。
女子57kg級のキム・ユジン(23)、男子80kg級のソ・ゴンウ(20)、女子67kg超級のイ・ダビン(27)ら先輩選手とともに今大会に臨んだ。
最年少でありながら、パク・テジュンは重大な役割を担っていた。彼がテコンドーの韓国勢で最も先に試合に臨んだからだ。パク・テジュンがどのようなスタートを切るかによって、韓国代表の雰囲気が大きく変わる可能性があった。
当然、過去に五輪出場経験もなかったパク・テジュンだが、金メダルまでの道のりは完璧だった。
初戦でベネズエラのヨハンドリ・グラナド(24)を破ると、準々決勝で開催国フランスのシリアン・ラヴェ(21)を完全アウェイの応援のなかで下した。
そして、準決勝では世界ランキング1位のチュニジアのモハメド・ハリル・ジャンドゥビ(22)に勝利した。東京五輪銀メダリストのジャンドゥビを相手に、パク・テジュンは攻撃的かつ大胆なプレーの連続で余裕を持って勝利した。
決勝でもパク・テジュンは優れたパフォーマンスを披露した。第1ラウンド途中で相手が負傷し、まともに試合に臨めなかったことを考慮しても、確実に優勝に値する実力だった。
テコンドーはここ20~30年の間でグローバルスポーツに跳躍し、身体条件の優れた海外勢が、“テコンドー宗主国”の韓国の選手を超える技量を持ち始めた。
その結果、前回の2021年東京五輪で韓国は金メダルを一つも獲得できなかった。
何より、男子58kg級は韓国がまだ五輪で一度も金メダルを手にしたことのない階級だ。
同階級のレジェンドであるイ・デフン(32)でさえ、最高成績は2012年ロンドン五輪の銀メダルだった。しかし今回、パク・テジュンが韓国勢で男子58kg級初の五輪金メダリストとなった。
テコンドー男子で韓国の選手が金メダルを獲得するのは、2008年北京五輪の男子68kg級のソン・テジン(36)、男子80kg超級のチャ・ドンミン(37)以来16年ぶりのことだ。“テコンドー宗主国”としての自尊心をパク・テジュンが守り抜いた。
パク・テジュンは「感嘆詞が自然と出るような選手として記憶されたい」と明かしたことがある。
実際、彼のプレースタイルはそうだった。パク・テジュンは攻撃的かつ大胆な攻めで、自身がリードしている状況でも相手を追い込む積極的なプレーを見せ、五輪の表彰台の頂点に立った。
また、試合後には負傷した相手に近づき、慰労した後に優勝セレモニーを行った。授賞式後も銀メダルのマゴメドフを支える成熟した態度まで見せるなど、実力、マナーともに“満点”だった。
試合後、ミックスゾーンで報道陣の取材に応じたパク・テジュンは、「これは夢ではないですよね?」と言って笑った。
そして、「彼(マゴメドフ)と対話した。“申し訳ない”と伝えたら、“格闘技のスポーツでは当然ぶつかることがある”と言って、“大丈夫だ”と祝ってくれた。励まし合った」という裏話も明かした。
パク・テジュンは今回、マットに上がる前までワイヤレスイヤホンで音楽を聞く“ルーティン”で話題になった。
「アップテンポのポップソングを聴いて、最後にDAY6さんの『1ページになれるように(英題:Time of Our Life)』という歌を聴く。歌詞のようになりたくて、ずっと聴きながら出てきた」と語った。
その望み通り、パク・テジュンはまさに韓国五輪の歴史の新たな1ページとなった。
■【写真】韓国人選手、記念撮影で日本の金メダリスト差し置いて前に…物議の一枚
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