日本にゆかりのある韓国代表、カナダ代表選手が決勝で激突した。
韓国代表のホ・ミミ(22、世界ランク3位)は29日(現地時間)、フランス・パリのシャンドマルス・アリーナで行われた柔道女子57kg級の決勝戦で、カナダ代表の出口クリスタ(28、カナダ、世界ランク1位)と対戦。延長戦までもつれ込むも、3つの指導で反則負けを喫し、銀メダルで終えた。
韓国女子柔道選手としては1996年アトランタ大会のチョ・ミンソン(66kg級)以来、28年ぶりの金メダルを狙ったが、惜しくも敗北。それでも、低迷気味な韓国女子柔道にとっては、2016年リオ五輪でチョン・ボギョン(48kg級、銀)以来、久々のメダルとなった。
韓国国籍の父、日本国籍の母を持ち、在日3世として東京で生まれたホ・ミミ。6歳の時に父親と柔道を始めたという彼女は、2017年に全国中学校柔道大会で優勝するなど、日本で高い評価を受けていた。
そんなホ・ミミが決勝で相まみえたのは、同じく日本にゆかりのある出口クリスタ。出口はカナダ国籍の父と日本国籍の母の間に生まれ、日本で育ったこともあり、ホ・ミミと境遇が似ている。2人は今年5月に開催された世界選手権の決勝で対戦しており、当時はホ・ミミが延長戦の末に金メダルを勝ち取っていた。
しかし、パリ五輪決勝では反対の結果に。ホ・ミミは偽装攻撃が続き、指導を受けて不利な状況に置かれてしまった。延長戦開始後には背負い投げを試みたホ・ミミだったが、出口の鉄壁のディフェンスを破れず。指導2つのホ・ミミが果敢に攻撃を繰り出すと、延長戦で終始守備的だった出口に指導が与えられて対等となり、本当の意味での延長戦が始まった。
しかし、試合は一瞬で終わった。疲れた出口をホ・ミミが追い詰めるも、“偽装攻撃”が宣言され、3つの指導でホ・ミミは敗北してしまった。
ホ・ミミの反則負けが宣言された瞬間、アリーナは静寂に包まれた。ルール通りとはいえ、あまりにも不可解な判定だった。時間が流れ、カメラがクローズアップする状況でも沈黙が続き、審判が出口の勝利を宣言するとブーイングが起こった。会場の誰もが審判の判定と柔道のルールに不満を持っていることが分かる場面だった。
勝利したはずの出口も当惑した様子だった。金メダルを首にかけても当惑した表情で、静かに頭を下げて会場を後にしていた。
試合後、韓国代表のキム・ミジョン監督は「最後の偽装(攻撃)は見方によって異なることもある。相手の大きなモーションで動いたことが影響したようだ。立ち上がり続けて試合をしたが、最後に偽装攻撃を認めたのは理解し難い」と首を横に振った。
一方、悔しい敗北を喫したホ・ミミは明るく笑いながら、「とても残念だが、太極マーク(韓国国旗)をつけて試合が出来て本当に嬉しい。幼い頃からの夢が叶った」とし、「実は、最後の攻撃が偽装攻撃なのかはわからない。納得はいかないが、試合だから仕方ない。本当に熱心に準備した。メダルを取ったこと自体が大変なことだ。本当に気持ちいいけど。金メダル本当に取りたかったのに…」と悔しさを滲ませていた。
(記事提供=OSEN)
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