“韓国のイチロー”ことイ・ジョンフ(25、サンフランシスコ・ジャイアンツ)が、韓国人メジャーリーガーの歴史に名を刻む記録を生み出した。韓国プロ野球KBOリーグ出身選手に範囲を広げても、史上2番目となる最小試合本塁打だ。
イ・ジョンフは3月31日(日本時間)、敵地ペトコ・パークで行われたサンディエゴ・パドレス戦でメジャー初本塁打を放った。3-1でリードした8回表、一死走者なしで迎えた4打席目で、パドレス左腕トム・コスグローブ(27)が内閣に投じたスイーパーを捉え、右越えのソロ本塁打を爆発させたのだ。
ジャイアンツの勝利を決定づける一発で、メジャー開幕3試合目にして初の本塁打を記録した。
同日、イ・ジョンフは歴代の韓国人メジャーリーガーで15番目にMLBで本塁打を記録した選手として名を連ねた。野手に限れば12番目だが、“早さ”で見れば歴代2番目の記録だ。
韓国人メジャーリーガーの過去最短期間での本塁打は、初出場の試合でアーチを描いたファン・ジェギュン(36、現KTウィズ)が保有している。彼はジャイアンツ時代の2017年6月29日、デビュー戦となったコロラド・ロッキーズ戦で大型本塁打を放った。
イ・ジョンフが肩を並べた歴代2番目の最小試合本塁打の記録も、韓国プロ野球の先輩たちが保有している。
パク・ビョンホ(37、現KTウィズ)がミネソタ・ツインズ時代の2016年4月8日、カンザスシティ・ロイヤルズ戦でメジャー初本塁打を放ったが、同日に当時シアトル・マリナーズ所属だった元オリックス、ソフトバンクのイ・デホ(41、引退)がオークランド・アスレチックス戦で本塁打を記録した。
パク・ビョンホとイ・デホは韓国で本塁打王と呼ばれた選手たちなので、イ・ジョンフのホームランがさらに光を放つ。
同日、イ・ジョンフとコリアン・メジャーリーガーのダービーを繰り広げたキム・ハソン(28)は、メジャー8試合目の出場となったテキサス・レンジャーズ戦(2021年4月11日)で初勝利を味わった。
また、韓国人野手初のメジャーリーガーであるチェ・ヒソプ氏(45、現KIAタイガース二軍打撃コーチ)は、シカゴ・カブス時代の2002年9月9日、メジャー5試合目となったセントルイス・カージナルス戦で。アジア人メジャーリーガー初の2シーズン連続「20本塁打&20盗塁」を達成したチュ・シンス(42、現SSGランダース)は、クリーブランド・インディアンス(現クリーブランド・ガーディアンズ)時代のメジャー2年目の2006年7月29日、古巣マリナーズ相手にデビュー15試合目で本塁打を放った。
イ・ジョンフとキム・ハソン以前にヒーローズ出身選手でMLB進出を果たしたカン・ジョンホ(36、引退)は、ピッツバーグ・パイレーツ時代の2015年5月5日、デビュー15試合目のカージナルス戦で初アーチを描いた。
このような先人たちの記録を見ても、イ・ジョンフのペースがどれだけ早いかがわかる。
おかげで、ペトコ・パークは連日“韓国人の祝祭”だった。同日、安打こそなかったものの、キム・ハソンは好守備を連続で披露し拍手喝采を浴びた。ヒーローズで同僚だった“親友”同士が敵として再会、それも夢の舞台で対戦すること自体、大きな話題を集めた。
キム・ハソンは「(直接対決に対する)負担を感じることもあるが、自分はジョンフとすごく親しく過ごしたし、若いときに3~4年間ルームメイトだったので思い出が多い」とし、「だからこそ、一緒に試合をすることがとても面白い」と笑っていた。
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドルで契約した。愛称は「韓国のイチロー」。
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