これまで皆無だった“実験”と“テスト”が、ユルゲン・クリンスマン監督率いる韓国代表に“ブーメラン”として戻ってこようとしている。
アジアカップに出場している韓国代表の最大の悩みはサイドバックだ。
左SBのDFキム・ジンス(31、全北現代モータース)がふくらはぎ負傷で第1~2節のいずれも欠場。同ポジションで2試合とも先発出場したDFイ・キジェ(32、水原三星ブルーウィングス)は、不振なパフォーマンスで早々に交代されると、第2節終了後にハムストリング負傷を訴えた。
さらには、右SBのDFキム・テファン(34、全北現代モータース)もふくらはぎの痛みを訴えている。負傷の情報がないのは両サイドでプレー可能なDFソル・ヨンウ(25、蔚山HD FC)だけだ。
この事態を受け、クリンスマン監督は3バックシステムの採用を考慮しているという。
今回の韓国代表メンバー26人のうち、センターバックでプレーできる選手は6人も選ばれている。
先発で出場しているDFキム・ミンジェ(27、バイエルン・ミュンヘン)とDFチョン・スンヒョン(29、蔚山HD FC)を除いても、DFキム・ヨングォン(33、蔚山HD FC)、DFキム・ジュソン(23、FCソウル)、DFキム・ジス(19、ブレントフォード)がおり、MFパク・ジンソプ(28、全北現代モータース)もCBをこなせる。
ただ、クリンスマン監督は就任以降、強化試合で3バックを敷いたことがない。
昨年6月のペルー代表との強化試合では後半に3バックを活用したことがあるが、それもサイドバック2人が出場していた変形的な3バックだった。今回選ばれたメンバーも、所属チームが3バックを用いている選手は多くない。
何より、CBのうちの一人のキム・ジスはまだAマッチデビューすらしていない。事実上、世代交代の名目で連れてきた選手だ。
キム・ジュソンもAマッチ2試合出場のみ。いずれもまだA代表での経験が足りない。
3バックと4バックでは、カバーする範囲やポジショニングが大きく変化する。守備面では安定するかもしれないが、攻撃面で数的有利を得られないなどの困難を経験する可能性がある。
だからこそ、実戦ですぐに3バックを試そうとするのはそれだけ負担というわけだ。
また、クリンスマン監督はMFイ・スンミン(29、大田ハナシチズン)のSB起用も示唆した。
イ・スンミンの主戦場はボランチであり、光州(クァンジュ)FCに所属した昨季も中盤の主力だった。シーズン終盤にはSBでプレーしたこともあるが、やはり代表では一度もSBでプレーしていない。
「いくつかのオプションをめぐって、内部でコーチと継続的に議論をしている。選手が出場できなければ、どのような変化を加えるべきか話し合っている」とクリンスマン監督は伝えた。
例え3バックを採用するとしても、“サイドバック・リスク”とそれに伴う負担は依然として残る。
なお、韓国代表は来る25日、アル・ジャヌーブ・スタジアムで行われるグループE第3節でマレーシア代表と対戦する予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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