韓国も“大谷キッズ”の登場を待たなければならないのだろうか。
2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は大谷翔平(28、ロサンゼルス・エンゼルス)に始まり、大谷翔平で終わった一本のドラマだった。
メキシコとの準決勝では、1点ビハインドで迎えた9回裏に先頭打者で二塁打を放ち、劇的な逆転劇のきっかけを生んだ。
また、アメリカとの決勝では侍ジャパンが1点リードした9回表にクローザーとして登板し、エンゼルスの同僚マイク・トラウト(31)と正規の対決を繰り広げた。最後はトラウトを空振り三振で打ち取り、日本を優勝に導いた。
国際舞台において、韓国野球は2006年、2008年、2009年が全盛期だった。
2006年の第1回WBCではベスト4入り。2008年の北京五輪では9戦全勝で金メダルに輝いた。2009年の第2回WBCは準優勝だった。
投手には若き日のリュ・ヒョンジン(36、トロント・ブルージェイズ)とキム・グァンヒョン(34、SSGランダース)、ユン・ソクミン(36、引退)。打線にはイ・スンヨプ(46、斗山ベアーズ監督)がいた豪華布陣だ。
彼らの存在が、韓国国内に多くの“北京キッズ”を生み出した。世界で堂々たる活躍を見せる先代の姿を見て、若い野球選手たちは夢と希望を燃やした。
日本では“イチローキッズ”が誕生した。メジャー通算3000安打の主人公であるイチローは、2006年と2009年のWBCでいずれも主軸打者として出場し、侍ジャパンの連覇に貢献した。
そんなイチローを見て育った選手が、まさに大谷翔平だった。大谷はもちろん、吉田正尚(29、ボストン・レッドソックス)や村上宗隆(23、東京ヤクルトスワローズ)などの“イチローキッズ”は今回の2023年WBCで侍ジャパンの主軸となり、感激の優勝トロフィーを掲げた。
一方、韓国の“北京キッズ”は栄光を受け継ぐことができなかった。
もちろん、国内プロ野球KBOリーグには“北京キッズ”のなかでも特に優れた選手が出てきていた。しかし、彼らはWBCの舞台ではまったくと言って良いほど通じなかった。投手のパク・セウン(27、ロッテ・ジャイアンツ)が可能性を示しただけだ。
韓国の若手は国際大会の経験も少なく、体を早期に作り上げるルーティンもなかった。そして、日本戦で格段に広がってしまった格差を、肌で実感することになった。
大谷のとてつもない活躍ぶりには、日本列島はもちろん世界中が絶賛を届けている。
韓国の野球ファンも同じだ。打者、投手の両方で凄まじいパフォーマンスを実現した。漫画でしか見られない劇的な場面も作り出した。
また、「優勝できる力を育ててほしい」という趣旨で韓国などアジア諸国への配慮を伝えるなど、人間性などどれを見ても拍手を送るべき人物だ。「日本のスター」ではなく「全世界のスター」になったわけだ。
おそらく日本では当然のことだと思うが、韓国でも“大谷キッズ”が現れる可能性が高い。世界中の野球人を魅了した大谷を見て、自らの夢と希望を育む幼い野球選手も増えるだろう。
大谷はすでにメジャーリーグで“二刀流”として名声を博した。今回のWBCを通じて、とてつもなく大きく善良な影響力を及ぼすものとみられる。
大谷は“北京キッズ”も努力し、成長してこそ国際舞台で通用するという事実を伝えた。現在の位置に安住すれば、ただの“井の中の蛙”に過ぎないという認識も植え付けた。
大谷は天賦の才能というより、幼い頃から誰よりも多くの努力を積み重ねてきたからこそ、今の位置に上りつめた。
韓国は“北京キッズ”たちの再奮起を期待しながらも、将来の“大谷キッズ”を待つ羽目になった。
(記事提供=OSEN)
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