「まるで戦争だった」北朝鮮遠征を終えた韓国代表団長が明かす“裏話”【現地インタビュー】

29年ぶりに行われた平壌(ピョンヤン)での“南北戦”は、21世紀の新しいかたちの戦争と同じだった。

ベント監督率いるサッカー韓国代表は10月17日夜12時45分、仁川国際空港を通じて帰国した。韓国は去る10月15日、カタールW杯アジア2次予選・第3戦で北朝鮮と対戦し、90分間戦った末、0-0で引き分けた。

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FIFAランキング113位の北朝鮮を相手にした韓国(37位)は、戦力の差こそ大きかったものの、相手のラフプレーによって自分たちのサッカーができなかった。

試合を見守ったチェ・ヨンイル団長は「遠征に参加した全員にとって今回の試合が負担だったのは事実」とし、「厳しい環境のなかで選手たちがよく戦った。最初から最後まで難しかったが、サッカー関係者として後輩たちが誇らしい。私たちは勝つために行ったが、引き分けという結果にも満足している」と感想を伝えた。

チェ団長の言葉通り、北朝鮮戦はサッカーの試合と表現しづらいほど荒れた。

チェ団長は「まるで戦争をするかのように試合を行った。(北朝鮮の)選手たちは負けなくないという目つきをしていた。私たちは技術的に勝とうとするサッカーをしたが、北朝鮮は精神力が加わったサッカーをした。だから試合自体が荒々しかった。選手たちが負傷なしに試合を終えただけでも満足している。アウェーで勝ち点1を獲得できて良かったと思う」と話した。

試合の状況に関しては、「肘や手は基本であり、空中にボールがあれば膝まで使ってぶつかってきて大変だった」と過酷さを説明した。

韓国代表の平壌遠征を終え、帰国したチェ・ヨンイル団長

試合前から注目も雑音も多い平壌遠征だった。取材陣と応援団の訪朝も期待されたが最終的に不可能となり、選手団だけの平壌遠征になった。特に今回の試合は生中継もなく、情報がほとんど入らない無観客試合となった。

チェ団長は、「(観客を)待っていた私たちも驚いた。1時間30分前に競技場に到着した。競技場が開いたら、5万人の観衆が詰めかけていると思っていた。ところが最後まで会場は開かず、選手たちもベント監督も驚いた」と振り返った。

北朝鮮側の関係者に観客がいないことについて聞いたチェ団長は、「担当者に聞いてみると“(観客は)来たくなかったから来なかったのだろう”と答えを濁した。正確な回答をしなかった」と付け加えた。

韓国代表は多くの統制のなかで平壌遠征を行った。宿泊施設から一歩も出られなかったという話もあった。

チェ団長は「通信自体を行うことができなかった。(ホテルには)インターネット自体が最初からできなかった。ホテルから外に出られないようにしていたし、外部からも入ってこられないようにした」とし、「(北朝鮮側の関係者は)自分たちの規定通り、こうしなければならないと言った。それ以上聞いても、目を合わせることも答えもしなかった」と説明した。

今回の平壌遠征で、韓国代表は簡単にはできない経験を積んだ。

チェ団長は「(再び対戦するときは)こらしめるよ」とし、「実力では私たちが上だ。技術的にもサッカーとしても、私たちがはるかに良い。上手くできるはずだ。困難な状況でも、一生懸命に最善を尽くした選手たちに感謝したい」と述べた。

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