「誰よりもたくさん流した汗と涙があったからこそ、勝てると思った」
“女王”が帰ってきた。ちょうど1年ぶりに通算14回目の優勝トロフィーを掲げた後、「短いと言えば短く、長いと言えば長かった間に2段階は成長した。今回の優勝が、米国女子ツアー通算14勝のなかで最も重要な優勝だった」と熱い涙を流していた。
復活の狼煙を挙げたコ・ジンヨン(27)が、再び世界のトップに挑戦する。
コ・ジンヨンは3月2日から5日にかけて、シンガポールのセントーサGCで行われた米国女子ツアーの「HSBC女子チャンピオンズ」で優勝を成し遂げた。タイトル防衛に成功するとともに、同大会史上初となる2連覇の金字塔を築いた。
最終ラウンド18番ホールのグリーンに移動する時点ですでに涙を流していたコ・ジンヨンは、優勝決定直後、キャディーの胸に抱かれて喜びの涙を流した。
「色々な考えがよぎった。プロ初優勝のときと似たような感じを受けた」というコ・ジンヨンは、「昨年の成長する時間があってこそ、今回優勝することができた。残りのシーズンをどのように戦うべきかがわかった大会だ。心理的にも癒された大会なので、今回の優勝が自分にとって一番特別だ」と伝えた。
女王の復活により、米国女子ツアーに再び“戦国時代”が開かれた。
コ・ジンヨンと優勝を繰り広げたネリー・コルダ(24、アメリカ)が変わらない技量を披露し、世界ランキング1位を維持ししているリディア・コ(25、ニュージーランド)も次の優勝に挑戦している。昨年から米国女子ツアーに旋風を巻き起こしているタイ勢も虎視眈々とチャンスを狙っており、アメリカ本土で始まる本格的なレースは混戦の様相を呈している。
コ・ジンヨンは「コルダと大会最終日に一緒にプレーするのはいつも大変だ。私より優れた選手なので、コルダがショットをするときは見ないようにしている」と笑いながら、「優れた実力を持つ選手と一緒にラウンドを回るときは、一つでも多く学ぼうと努力している」と尊敬の念を示した。
その一方で、「コルダももちろん立派な選手だが、昨冬に私が流した汗と涙も絶対に無駄ではないと思った。一生懸命練習したし、自信があったからこそ勝てると信じた」と強調した。
自信は結果につながった。シーズン初戦の舞台に選んだ「ホンダLPGAタイランド」では最終日に8アンダーと底力を発揮。そして今回の「HSBC女子チャンピオンズ」では、初日こそイーブンパーと伸び悩んだものの、第2~3ラウンドで14打を減らし首位争いに飛び込んだ。
結果とは別に毎回の瞬間でポーカーフェイスを維持し、悪天候でもルーティンを徹底的に守るなど、冷徹に試合を展開したのも自信の表れだ。
自信を取り戻してプレッシャーを跳ね除けただけに、かつて世界ランキング1位を維持した圧倒的技量を回復する可能性も高い。この1年間で結ばれたしこりを解きほぐし、「“初心”を取り戻した」という言葉もついてきた。
コ・ジンヨンはこの先、2週間の休息期間を設けるが、時差や現地適応などを考慮すればただ休むわけにはいかない。「プライドよりも、頑張らなければならないという心構えを忘れてはならない」と、改めてシーズンを戦う決意を明らかにした。
なお、同大会では古江彩佳(22)が6位、笹生優花(21)が7位、畑岡奈紗(24)が11位タイ、渋野日向子(24)が33位タイ、西郷真央(21)が65位だった。
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