今から13年前の2009年、ハンファ・イーグルスは同年シーズンの韓国プロ野球KBOリーグを46勝3分84敗の最下位で終えた。これが、暗黒期の始まりだった。
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2006年には準優勝を果たし、2007年はレギュラーシーズン3位、2008年は5位で、勝率も0.508を記録していたチームが、あっという間に底に転落した。
最下位に終わった2009年以降、ハンファは2018年までの10年間でたった一度しかポストシーズンに進めなかった。2019年は下から2番目の9位で、2020年と2021年は最下位と沈んでいる。
2009年に始まったハンファの墜落において、絶対に外すことができないのが、同年に行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だ。当時、野球韓国代表の指揮官を務めたのが、ハンファを率いていたキム・インシク監督だ。
2005年からハンファを率い、チームを上位に導く采配ぶりを見せていたキム監督だが、最下位に終わった2009年を最後に、プロ球団の指揮を執ることはなくなった。
韓国代表はWBCで準優勝を記録したものの、ハンファは監督がシーズン開幕前の準備期間に不在だった影響をもろに受けた。現場の最高責任者である監督がキャンプを離れてしまえば、シーズンの運営に支障が生じざるを得ない。
反対の場合もある。2013年のWBCでは、当時サムスン・ライオンズを率いていたリュ・ジュンイル監督が韓国代表を指揮した。
サムスンはリュ監督就任初年度の2011年と翌2012年で、2年連続統合優勝を達成したが、2013年も好調ぶりは変わらなかった。キャンプ期間に監督が不在だったにもかかわらず、サムスンは同年シーズンも優勝。2014年まで4年連続統合優勝を果たすなど、まさに王朝を築いた。
そして2023年、今度はKTウィズが、2009年のハンファと2013年のサムスンの岐路に立つことになった。
韓国野球委員会(KBO)は7月21日、KTのイ・ガンチョル監督を、2023年WBCで韓国代表を率いる指揮官に決定した。これにより、イ監督は2014年仁川(インチョン)アジア大会でのリュ監督以来となる兼任監督となった。
このため、KTは来年のキャンプを監督不在の状態で進めなければならなくなった。
2023年のWBCは、同年3月8日から21日まで開催される。韓国代表の成績によって、イ監督の不在期間も変わってくるだろう。
とはいえ、韓国代表もプロ球団と同じくキャンプに臨み、大会への準備を進める。WBCが行われるタイミングで、各球団は実戦に突入する。つまり、イ監督は2023年のKTのキャンプをまともに管理することができなくなった。
戦力がある程度整ったチームであれば、監督の空白も大きくないかもしれない。実際、2009年のハンファと2013年のサムスンを比較しても、客観的な戦力差には大きな開きがあった。
だが、KTは2023年に重要な変化と向き合う可能性が高い。先発投手のペ・ジェソン、さらには遊撃手のシム・ウジュンが、軍入隊のため戦力から除外される可能性があるのだ。
つまり、彼ら主力の空白をどのように埋めるかというのが、2023年のキャンプにおける最優先課題となる。こうなると、監督の不在はチームにとって少なくない負担となる見込みだ。
これまでのアジア大会、オリンピック、プレミア12では、監督が所属チームと代表を兼任する場合でも、負担はそれほど大きくなかった。というのも、アジア大会とオリンピック期間はシーズンが中断され、プレミア12はシーズン終了後に行われていたからだ。ところが、WBCは新シーズンの構想を本格化する冬の時期に開催される。
2009年のキム監督と2013年のリュ監督は、どちらも“二兎”を得ることはできなかった。キム監督はWBC準優勝もハンファが最下位に終わり、リュ監督はWBC第1ラウンド敗退もサムスンで優勝を達成した。
はたして、イ・ガンチョル監督が韓国代表とKTの両方で目標を達成することができるのか。2009年WBC以来、14年ぶりの日韓戦が実現したことで話題の2023年WBCだが、イ監督の采配ぶりにも、現時点で関心が集まっている。
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